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トーマス・エジソンの発想法

金曜日, 8月 31st, 2012

                                 浜田 和幸 (国際未来科学研究所代表)

    『致知』2004年7月号
       特集「熱意・誠意・創意」より

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「天才とは、1%のひらめきと99%の努力の賜物である」

1929年2月11日、エジソン82歳の誕生日に残したこの名言は、
おそらく世界中で一番よく知られている「格言の王様」でしょう。

「あの発明王エジソンですら、努力の大切さを言っているではないか。
  やはり人は才能ではない、努力こそが大事なのだ」

と、努力を重んじる我々日本人にも、たいへん受け入れやすい言葉として愛され、
多くの人たちに、夢や希望を与えてきた言葉です。

ところが残念ながら、この言葉ほど間違った意味が世の中に流布し、
多くの人の誤解を受けている言葉はないのです。

エジソンは、肉体や精神、宇宙などに対し、
独特の世界観のようなものを持っていて、
自身の発明の原動力についてこう述べています。

「人間、自然界すべての現象は、われわれの思いもよらぬ
 はるかに大きな未知の知性によって
 運命づけられている気がしてなりません。

 私自身も、これらのより大きな力によって動かされて、
 数多くの発明を成し遂げることができました」

と。

この「はるかに大きな未知の知性」のことを

「リトル・ピープル・イン・マイ・ブレイン(頭の中に住む小人)」

と呼んでいたエジソンは、発想の原点である
リトル・ピープルの声を聞くこと、
つまり1%のひらめきを得ることが大事だと、
日記の中で繰り返し述べています。

「最初のひらめきがよくなければ、いくら努力しても無駄である。
 ひらめきを得るためにこそ努力はするべきなのに、
 このことをわかっていない人があまりにも多い」

と、自分の発言が世の中に誤った解釈で伝わってしまったことを
嘆いているくらいです。

エジソンは、発明や研究に行き詰まると、海辺に行き、
釣り糸を垂れるのが常でした。

ただし糸の先に餌はつけません。
潮風に吹かれ波音を聞き、自然の中に身を置くことで、
不思議と頭を悩ませていた問題の解決策が浮かんでくるというのです。
自然界や宇宙から流れてくる未知の知性のアイデアをキャッチし、
新しいひらめきを釣る。

エジソンの釣りには、そんな意味が込められていました。

しかし、これは天才・エジソンだからこそできることです。
では、私たちはどうすればよいのでしょうか。

エジソンは、研究に行き詰まったエンジニアにこんなアドバイスをしています。

「問題は君の考え方にある。
 大事なことは、頭の中に巣食っている『常識』という理性を
 きれいさっぱり捨てることだ。

 もっともらしい考えの中に新しい問題解決の糸ロはない」