まほろばblog

「ふぐ卵巣糠漬け」の食べ方

5月 3rd, 2012

ふぐの子(卵巣)糠漬  あら与

作り時6月、出来上リ2~3年隻の8月頃~

【北前船の寄港地にのみ伝わる、猛毒の卵巣を珍味に変える伝統製法】

ぽってりと大きなごまふぐの卵巣を塩漬けして1年おき、さらに樽に漬けて、

ふた梅雨過ぎるのを待つ。

その間木樽の中で発酵しつづけ2年後に類い希なる珍味となる。

普通ふぐの卵巣は解体したらすぐに焼却処分にされる。

製品化することが出来るのは、全国でも石川県しかない。

製造しているのは石川県白山市美川、金沢の金石、

大野といった北前船の寄港地に限られている。

ふぐの毒はテトロドトキシンという猛毒で、とらふぐの成魚の肝臓ならざっと30人、

糠漬に使うごまふぐの卵巣でも、生で食べると5~6人は殺してしまうほどの毒がある。

そのふぐの卵巣を2年以上も塩、糠、糀に漬けて毒をぬいてしまう。

今は毒性検査も義務付けられているが、(予防医学協会で検査を受け10マウス以下で合格)

食べ頃は長年の経験から仕上がりの色と香りでわかる。

中毒例は皆無である。 

(食品衛生法の規定は、ふぐ卵巣加工品の毒性指数は

10マウス/100g以下は人体無害となっています)

当店の製品はこれ以下の5マウス/100g未溝です。 

6月に能登沖でとれたふぐにしか卵巣は入っていない。

そのふぐの卵巣を取り出し、30%の壇で撒き塩濱けして1年間貯蔵する。

その後、水で洗って、糠と少々の糀で木樽に本漬けし、ふた梅雨を待つ。

この間、花に水をやるように、鰯の塩漬け汁を絶えず漬け樽にさして、

空気中の悪玉の微生物を遠ざける。

2年半から3年で毒が消えることは経験で知っているが、

そのメカニズムはいまだに解明されていない。

塩の浸透圧で一部毒が流れ出て、

さらに樽に漬けることにより微生物の発酵作用でゆっくりと、

毒を分解するのだと言われている。

 

6月に能登沖で捕れたごまふぐの真子「卵巣」。

← (身と卵巣を分離)

美味しそうだが毒の塊。

体の3分の1もあるふぐの子が加工できるのは石川県だけ。

他県から持ち込めないので製造数は少ない。

 

ふぐの子粕漬は、糠漬けが仕上がった時点で一度ヌカを洗い落としてから

カスに3ヶ月ほど漬け込みます。味がまろやかになります。

 

 

「ふぐ子ぬか・粕漬」の召し上がり方 ㈱あら与

●       そのまま5㎜前後に輪切り又はお箸やスプーンで粒をほぐしてから、

           温かいごはんにのせて召し上がるのが一番の食べ方です。

●       おにぎりの具やご飯に混晋ておにぎりにして、海苔を巻いても美味しいです。

●       又ぬか漬は梅干しの梅肉と和えておにぎりやお茶漬け、

            わさびや三つ葉を添えてお茶漬けもなかなかのものです。

「ぬか漬・粕漬」は保存食として生まれた物なのでどうしても辛く感じられます。

「ぬか漬」はお酢(廿酢)・レモン汁・大根おろしなどの酸味の物とマッチします。

ちびちびお酒の肴にもいいと思います。

応用編として、アクセント的な味付けにピザのトヅビングやパスタの中にもお試し下さい。

2年以上心を込めてやさしく手をかけて出来上がった「ふぐ子ぬか漬」、

さらにその「ぬか漬」を約2~3ヶ月酒粕に漬け込んだ「ふぐ子粕漬」です。

どうぞこの江戸時代から伝承される加賀の味、

発酵食品のすぱらしさをどうぞご堪能下さいませ。

「ふぐ笹干・(平筋)糠・粕漬」の召し上がり方

 
ふぐ笹干は一匹のふぐを三枚に卸し、それを又斜めに削いで塩をし、
 

笹型(平たく小判型)に干した物で、ふぐ片筋よりも薄く柔らかく仕上げております。

そのふぐを糠漬は約一年、粕漬は約半年間漬け込んだ保存食であり、発酵食品です。

糠漬・粕漬どちらも焼かずに、糠又は粕を包丁か布巾で取り除き、

(どうしても洗われる時は、水気を紙ナプキン等で拭き取つて下さい)、

薄くスライス又は、手で裂いてお召し上がり下さい。

糠漬はお茶漬けにとっても美味しいです。

糠漬が辛ぐ感じ.られる時は、お酢(廿酢)・レモン汁をかけてお召し上がり下さい。

糠漬、粕漬どちらもお酒のおつまみに合います。

粕漬はお茶請けにされる方もいらっしやいます。

あら与の糠漬はすべていわしを塩をした時にできる

自家製の魚醤で毎日管理しながら熟成致しました。

このいわしから採れる旨みは血圧の上昇を抑制する効果がある事は、

玉川大学の八並先生の五年間の研究で実証されておりますので、

安心してお召し上がり下さい。

醗酵の極み!猛毒のふぐ卵巣が・・・・・

5月 2nd, 2012

『醗酵仮面』こと小泉武夫農大名誉教授の講演は、

これまで相当数拝聴してきたが、事あるごとに話題を提供する

端緒というか結論というか、兎にも角にも、最大級に絶賛するのが、

「ふぐの卵巣糠漬け」で、これは醗酵史上、最大の出来事であり、奇跡なのだと。

その大本殿、石川県の『あら与』さんの荒木敏明社長と電話で話が弾み、

その商品、ふぐの卵巣を送って頂いた。

怖いもの見たさとはこの事か。

手に取っては見たものの、きっと塩辛いだけのもので、

期待外れに終わるであろうと、恐る恐る口に運んだ。

ところが、どっこい!『これは!うまいぞ!!行けるぞ!!!』と唸る。

卒倒しそうなくらい、う・ま・か・っ・た!!!!!!!!!

これには、言葉は要らぬ。

これは、仕入れるより他、手はないとばかりに仕入れた次第。

以下、小泉博士の解説から、やんわりと導入。

しばし、文言で悶絶あれ。

毒抜きとアク抜き    小泉武夫著 『発酵」から

  フグ卵巣の毒抜き

まず日本にある世にも不思議な発酵、フグ卵巣の「毒抜き」から述べよう。

石川県金沢市周辺の美川・大野・金石地区や、能登地方でつくられている

伝統的発酵食品に「フグ卵巣の糠漬け」がある。

有毒な原料を用いる点できわめて特異であり、その有毒物質を微生物によつて無毒化し、

食品にするという点で奇跡的である。

この地区は明治初期よりフグの糠漬け製造が盛んで、

マフグ、ゴマフグ、サバフグといつた猛毒フグがその原料となってきた。

毒のない肉味を糠漬けするのならわかるが、

ここでは猛毒を持つ卵巣を糠漬けにしてしまうのだからまさに驚嘆に値する。

フグの卵程は、猛毒テトロドトキシンがあるのは周知の通りで、

大型のトラフグの卵巣一個でおよそ20人を致死させるというから猛烈なものである。

ところがこれを醗酵によって解毒し、食べてしまうという発想は世界に他例はなく、

生活の知恵から生まれたものとはいえ強烈である。

まさに漬物王国日本ならではの発想と知恵から生まれた発酵食品である。

その製造法はまず、卵巣を30%以上の塩で塩漬けし、そのまま半年から一年間保存する。

塩漬け後、2~3ヵ月で塩を替えて漬け直すこともある。

一年ほどすぎてから卵巣を取り出し糠に漬け込むが、この際、

少量の麹とイワシなどの塩蔵汁を加える。

こうして重石をして二年間以上発酵、熟成させ、このまま糠漬けとして、

あるいはさらに酒粕に一カ月ほど粕漬けとして出荷する。

一般の魚の糠漬けに比べて使用塩量が多く、発酵期間も数年かけるが、

これは昔から「毒を消しすため」と伝え継がれてきたためであるという。

漬け込む前にあった猛毒は、製品からは全く消えてしまい、

これを食べての食中毒例は皆無であるばかりでなく、

今日では金沢市の名物土産となって売られている。

この毒抜きのメカニズムは、まず塩漬けの期間で毒の多くが卵巣外に流出し、

次に糠漬げの期間で、残留した毒が乳酸菌や酵母を中心とした発酵微生物の作用を受けて分解され、

解毒されるものであることがわかった。

大根やきゅうり、ナスなどを含めて、発酵中の糠みそにはその1グラム

(大体親指のツメほどの量)中に数億個の微生物が活発に生活しているのである。

彼らにかかつたら、あたって恐いフグでも弾を抜かれた鉄砲のようなものになってしまう。

『ふぐの子 ぬか漬』    ¥840(税込)   

『ふぐの子 かす漬』  ¥1,050(税込)

『笹干しふぐ糠漬け』    ¥630(税込)

『ふぐかけ Fー1醤油』    ¥840(税込)

『ふぐの子 醸(かも)し漬け』    ¥788(税込)

アグネス通信「醗酵について」

5月 2nd, 2012

宮下社長へ

ご無沙汰してます。アグネスです。

すっかり春らしくなりましたね。

お元気ですか?

毎日の日々の季節の変化が楽しい季節です。

あやの里にも、はっとする白さで水芭蕉がたくさん咲いています。

ブログ、時々ですが、のぞかせていただいています。

興味ある記事がいっぱい。寺田さんがお亡くなりになられたのは、ショックでした。。

エリクサー水で仕込んだ酵母、確かに違います。。

昔、仕込んだ時は、やきあがりの表面生地が結晶のようにきれいになって感動したの覚えてます。

今も、ぶどう酵母を前に汲んで残っていたエリクサー水で起こしてますよー。。

今日焼いてみましたー。

やはり、うれしいですねー。 

 私も発酵食の研究の毎日というか、日々発酵!って感じーー。

 さてさて、今回メールしたのは、アメリカのブルーミントン州でも

チームやんじーの後方支援のみなさんがおられるのですが、

来る5月17日に向こうにいる日本人のママさんチームが、

風呂敷ワークショップやお弁当ワークショップなどでチャリティイベントを開催してくださります。

その時にブルーミントンの人に向けた文章をメールしてほしい。ということで、文章を書きました。

その文章を書いているうち、ブルーミントンの方だけでなく、

読んでほしいなということでお知らせしました。

長文なのですが、1年を振り返って、感じたこととこれからの展望についてを書きました。

HPに掲載しましたので目を通していただければと思います。 

http://mouth-mountain.greenwebs.net/archives/4468 

最近、あやの森あやの里物語も、災害救援ネットワーク北海道のHPに掲載しています。

あやの里あやのもりの様子や、どんな天変地異があっても、

ゆるぎない心を持つこと、そういう暮らしの日々のヒントです。

http://mouth-mountain.greenwebs.net/ 

あっ、そうそう。もし情報あればお知らせください。

あやの森の母屋の建物を作るのに、いらない梁や柱、廃材など探しています。

出来れば十勝管内が取りにいきやすいから十勝管内でよびかけているのですが、

情報があまりなくって。 

今、やんじーは、札幌の友人の方が事務所立ち退きで、解体するので、要る窓枠や建具とかを、

トラックやらで往復して取りにいってます。梁と柱はちょっと使えないようで。 

もし、何か情報あれば教えてください。 

今日焼けたパン写真おくります。

また南三陸にもいくので、続けては焼けないけど、少しずつ復帰していくとします。

また、おいしいの焼けたらもっていきますねー。 

エリクサーで、ブドウ酵母仕込み ごまぱん

              ぶどうくるみぱん

              行者にんにくぱん

白樺樹液と松葉の酵母    キハダぱん。 

「5月のうさと展」も、よろしくお願いします。

たのしみーー。 

ついつい長くなりました。最後まで読んでくださりありがとうございます。

アグネス

テルミン奏者「やの雪」さん来店

5月 1st, 2012

世界初の電子楽器「テルミン」の日本での第一人者「やの雪」さんを、大前君が連れていらした。

10年ほど前、ソフテに勤めていた小百合ちゃんの引き合わせで、

逢えるチャンスがあったのだが、何故かその時は、ご縁がなかった。

10年目にして漸く、叶った訳だが、尽きせぬ話にお別れしたのは、0時を過ぎていた。

写真で、テルミンを奏でる彼女は、いかにも清楚な神秘的雰囲気を醸していて、

なかなか近寄りがたいものがあった。

ところが、会ってみると意外に剽軽で、ユーモアがあり楽しい方だった。

テルミンとの出会いや、ご自身の出自、音楽の経歴などなど・・・・興味が尽きず、

半日では語り尽くせぬものがあった。

音楽を通して、宇宙の根源に至りたいという強烈な願望があるという。

何か、ひどく共感出来るものがあって、古い出会いのような気がした。

ご自身を「テルばあさん」、相手の「テルじいさん」というのが、

何と創始者のレフ・セルゲーヴィチ・テルミンが80年前に自ら作った、

真空管を使ったRCAテルミンのアンテーク、超お宝である。

最新式のテルミンでは、到底叶わない次元境地のそれという。

電子音といっても、これは異次空間に超絶する。

これほど、IT時代になっても、アナログの心の音は奏でられない。

私も、50年前のスピーカー、真空管のアンプでレコードを聴いているが、

その消息は、充分理解できるのだ。

雪さんは、めったにこの重鎮を外に持ち出す気にならなかったという。

しかし、その夜、地下洞「無限心庵」を観て、話を聞いて、ここで演奏したいと言われた。

「テルじい」がここに来たいと言っているらしい。

そんなイベントが、開かれるかもしれない何時か。

皆様を、夢の空間にお誘いしたいと思います。

http://www.yano-yuki.com/

http://www.jvcmusic.co.jp/theremin/index.html

http://www.jvcmusic.co.jp/theremin/whats/index.html

エゾシカ通信1号

4月 28th, 2012

エゾシカ協会より、「心」「全」「味しくてヘルシーなエゾシカ肉」でAAO通信が届きました。

両店舗の店頭に並べてますので、無料ですのでお読みください。

座談会、食べ所、買い所、もろもろ論説・・・・・気軽な読み物になっております。

エゾシカは地域を救う!!

http://www.yezodeer.com/ エゾシカ・サイトへどうぞ!!

春のうさと展inまほろば

4月 28th, 2012

GW明けの11、12,13日は5月の感謝ディー。

その前日10日~13日まで、本店二階で「春のうさと展」を行います。

ここ2,3日で、一斉に春の気が北国にも押し寄せて来た感じです。

山菜も、日々種類と量が増えて来ました。

多数品数を揃えて、ヤンジーとアグネスがお待ちしております。

特に人気の高いインナー物を豊富に発注しますので、嬉しくなります。

やはり、皮膚に直に当たるモノの素材は健康や気分を左右します。

麻や綿で清々しい毎日を送りましょう。

3月の30日に訪問した「うさと京都本社」です。

烏丸の通りで、広いスペースでゆったりと楽しめます。

お近くの方は、どうぞお尋ねください。

ウエダ家のcobo

4月 27th, 2012

寺田さんの葬儀場の控え室で休んでいた所、向こうから見知らぬ方から声をかけられた。

初対面、あのcobo株式会社、酵母研究一家の植田夏雄さん親子であった。

http://cobo-net.com/

開口一番、エリクサー水の威力を矢継ぎ早に話され、こちらが目を丸くしてしまいました。

発酵がとにかく早く、しかもきめ細かく雑にならず。

そのステージごとに、最上の質を醸すなどなど・・・・・

そして、初めてフリーズドライ化に成功して、9月頃には販売されるとか。

片山さんにご紹介を受けたのが、1月。

早くも酵母の製品化になるなど、ビックリ!

全くの素人から始め、何の予備知識も先入観もないところから微生物の世界に入られたとか。

そこが、私ととても似ていて共感を覚えました。

息子さんも、とても研究熱心で、週4,5日は酵母の講演で、全国各地から集まるとか。

寺田さんと志を同じくする方々が多く現れ、多方面で活躍されているのですね。

嬉しく思います。

きっと、寺田さんも喜んで、いっぱい手を貸して下さるに違いありません。

植田さんのcoboのおはなし、これから詳しく知らされると思いますので、ご期待を。

アントン・ヤッチ社長、来札!!

4月 26th, 2012

 

 21日(土)に、フォアベルク日本・アントン・ヤッチ社長が来店された。

ドイツ出身の親日派で、母国の誇る掃除機コーボルトを引っ下げて来日。

今や、全国を股にかけて、東奔西走の毎日。

川口支社長や磯さんの過剰(笑)な前宣伝に洗脳されて、相当期待されたご様子。

店に着かれるや、「ここの人や空気が素晴らしい」と第一声の外交辞令(スミマセン!お気を使わせて)。

しかし、商品群を見るや、かなりのオーガニック通に、はなはだ親しみを覚える。

ドイツは、なにせ世界一の環境国であり、オーガニックの最先端国である。

あのような表面お堅い理論武装家のようで、日本と共感する面が極めて多い。

世界の老舗の数は、日本に次いで二位のマイスター立国である。

技術や信用を第一とする。

また、バッハやベートーベンを、何処よりもこよなく愛する日本国民でもある。

いかにも、ドイツから発した掃除機コーボルトである。末永く息が長い。

じっくり構えて、行く末を俯瞰して行こう! 

地下洞の見学を終え、ソフテで喫茶する。

ベーカリー・宮本くんの焼くオーガニック粉のライ麦パンをいたく絶賛!

ご自分でも焼かれるほど、パンには精通。

記念の一枚、はいパチリ!

この日のために、わざわざチーズケーキを作った大和さん。

これも旨い!と絶賛。確かに、誰が食べても唸る。

二人とも、本場の通に褒められ、大満足、大自信!

これも記念に、はいパチリ!

また、5月に来道、またお会いするのが楽しみです。

おのこノ節句

4月 25th, 2012

またまた、アーテスト福田が山の木々で、兜と刀を作ってしまいました!!

本当に器用なもんで、忙しいさ中、よくぞ作れるものぞ!と感心しています。

いよいよ週末からゴールデンウイーク。

5月5日は、節句で大和男子(おのこ)の日。

特別仕立てのケーキを用意しています。

啓佐さん、今もなお・・・・・・

4月 25th, 2012

寺田本家、啓佐さんの葬儀から帰って参りました。

同じ神崎町の永興寺で、しめやかに執り行われましたが、

小雨の中、全国から彼を慕う多くの方々が参列されました。

奥様の雅代さんのやせ細った体躯が、痛々しくお慰めする言葉にもなりませんでした。

祭壇に飾られた啓佐さんの写真は、Vサインのとても優しいまなじりでユーモアを湛え、

とても亡くなったとは思えないものでした。

焼香机に飾られてあった生前の写真を、雅代さんの許可で撮らせて頂きましたが、

彼の剽軽な明るく朗らかな表情が懐かしく、居ないことがとても不思議に思えました。

これも不謹慎ながら、彼の素晴らしい何とも言えない風格の漂う肖像画を囲んで、

ご家族の写真を撮らせて頂きました。

みなさん、どこまでも明るく清らかな聖家族であることに、感動してしまいました。

悲しみのどん底にいらっしゃるのに、微笑みを持って対せらるご様子に、

一層悲しみが深まります。

しかし、この写真で、私たちが癒されてしまいました。

  

啓佐さんが、天上で、いやすぐそこで、

「何を泣いているの、僕はここにいるよ!いないない、バーー」

とおどけているような気がします。

変なおじさんやバカ殿の仮装をして、みんなを驚かせるのが大好きでした。

「今度、みんなをビックリさせることをしたいね」と、何時も言っていました。

きっと、お蔵の微生物たちも、そんな彼が大好きで、楽しく働いて、五人娘を醸したのだ思います。

啓佐さんの遺した心の微生物は、みんなの心の中に移って繁殖し、今もなお増殖し続けています。

きっときっと、日本中に「啓佐菌」で満ち溢れるに違いありません。

その時こそ、彼の『発酵道』が完成されるのでしょう。

寺田本家は、これから寂しくなるどころか、ますます賑やかに、華やかになることでしょう。

それは、何時も輪の中心に啓佐さんが生きているからです。

                                 周平 拝

さる4月18日、寺田本家23代目当主・寺田啓佐儀、安らかに永眠いたしました。
これまで大変お世話になった皆様にもきちんとご挨拶しないままに他界してしまった義父に代わりまして改めて御礼を申し上げます。
 自分の思うがままに生き、好きなことを言っているのに、いろんなところで社長社長と皆様に持ちあげていただき、いつの間にか輪の中心になっている、父はそんな人でした。
皆様を愛して皆様に愛された人でした。「自分らしく・心地よく・仲良く」生きることが微生物の有るがままの姿であり、自然に寄りそうとはまさにそう生きることだよ」と常々申しておりました。
目に見えない微生物に生き方を学んだ父はまさに微生物のような生き方を体現していたんだなと思い起こされます。父はいろんなところにたくさんの種を蒔いて旅立っていきました。その種を育くみ、発酵させ続けていくのが残された私たちの役割であり、「発酵して幸せに暮らすお手伝いがしたい」と申しておりました父が残してくれた使命だと考えております。
 改めて生前に父がいただいた皆様の温かいお心遣いに心より御礼申し上げます。
皆様のお役に立つ寺田本家として家族・蔵人一同精進してまいります。今後も変わらぬご支援を賜れば幸いでございます。ともに発酵してまいりましょう。ありがとうございます。
                           寺田本家24代目当主  寺田