まほろばblog

Archive for 8月 10th, 2013

鳥の歌

土曜日, 8月 10th, 2013

 

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「鳥の歌」の原曲はキリストの誕生を祝い鳥たちが歌う という内容の、

カタロニア地方に伝わるクリスマス・キャロル。
現代でもキリスト教の聖歌として歌われている。

整体法の故・野口晴哉氏が終生「わが心の師なり」と尊敬した

チェリスト、パブロ・ザルスが、

カタルーニャ民謡『鳥の歌』(El Cant dels Ocells)を演奏し始めたのは、

第二次世界大戦が終結した1945年といわれる。

この曲には、故郷への思慕と、平和の願いが結びついており、

以後カザルスの愛奏曲となった。

1971年10月24日、カザルス94歳のときにニューヨーク国連本部において

「これから短いカタルーニャの民謡《鳥の歌》を弾きます。

私の生まれ故郷カタルーニャの鳥は、ピース、ピース(英語の平和)

と鳴きながら飛んでいるのです」と語り、

『鳥の歌』をチェロ演奏したエピソードは伝説的で、録音が残されている。
カザルスの故郷スペインは1939年の内戦以降、
独裁者フランコによる軍事政権が続き、
「自由な政府ができるまで祖国には帰らない」 と語り、

スペインを離れたカザルスは、 祖国の土を踏むことは二度となかった。

彼は優れたチェリストであるばかりでなく、 大指揮者であり、

またシュバイツァーと共に、 核実験禁止の運動にも参加した平和主義者だった。

 

この演奏の声は、音楽を超えて、私達に迫る。

それは、平和を訴えると共に、音楽の本質は何かと訴えるものなのだ。

 

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その「鳥の歌」をスペインの誇る国民的歌手、同じカタルーニャ地方出身の

MARINA ROSSELL・マリナ・ルセイユ」が歌います。

魂に打ち続けるチェロと声の響きに、音楽と人間の深遠さを思うのは、私ばかりでしょうか。

 

 

「二宮金次郎の幸福論」

土曜日, 8月 10th, 2013
          中桐万里子(二宮尊徳七代目子孫・リレイト代表) 

                『致知』2013年9月号
                 特集「心の持ち方」より
      http://www.chichi.co.jp/monthly/201309_pickup.html#pick1

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金次郎の教えで有名な
「たらいの水の話」というのがありますね。

水を自分のほうに引き寄せようとすると
向こうへ逃げてしまうけれども、
相手にあげようと押しやれば自分のほうに戻ってくる。
だから人に譲らなければいけないと。

けれどもこの話には実は前段があるのです。

人間は皆空っぽのたらいのような状態で生まれてくる、
つまり最初は財産も能力も何も持たずに生まれてくる
というのが前段にあるのです。

そしてそのたらいに自然やたくさんの人たちが
水を満たしてくれる。

その水のありがたさに気づいた人だけが
他人にもあげたくなり、
誰かに幸せになってほしいと感じて
水を相手のほうに押しやろうとするんです。

そして幸せというのは、自分はもう要りませんと
他人に譲ってもまた戻ってくるし、
絶対に自分から離れないものだけれども、
その水を自分のものだと考えたり、
水を満たしてもらうことを当たり前と錯覚して、
足りない足りない、もっともっととかき集めようとすると、
幸せが逃げていくんだというたとえ話だと祖母から教わったんです。

それから金次郎は、偉大な思想家、経済学者、農政家と
いわれていますが、彼はやっぱり農民だった、
土と一緒に生きた人だったと凄く感じるんです。

例えば金次郎が残した道歌にこういうものがあります。

「米まけば 米の艸(くさ)はえ 米の花
 さきつゝ米の みのる世の中」

米を植えれば米が実るという
当たり前の道理を歌っているんですが、
金次郎はこの歌の米の部分を茄子や麦や芋や
あらゆるものに置き換えて歌っていて、
とてもありきたりなんですが、そのことをとても楽しんでいる。

農業という自分の仕事に力を尽くしてきた人だ
というのが伝わってくるとともに、
とても大切なことを教えられるような気がするんです。

仕事をやっていると、自分は小さなことしかできていない
という焦りや、不安に苛まれることもあります。

けれども金次郎は常に目の前の現実、
自分の一歩を大事にし、愛おしみ、
感謝しなさいと教えてくれ、
浮ついてしまいがちな自分を
地面に引き戻してくれる人だと私は感じています。

※中桐さんが、作家の三戸岡道夫氏と語り合った
「二宮尊徳の残した教え~心田の開発こそあらゆる繁栄の本~ 」。