まほろばblog

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お母さんを「太陽」と呼んだ日本人

木曜日, 2月 21st, 2013
    『日本のこころの教育』より 

                境野 勝悟(東洋思想家)

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僕が小学校の一年のときのある日、
「ただいま」って家に帰ると、
お母さんがいないときがありました。

お父さんに、「お母さんどうしたの?」と聞くと、
「稲刈りで実家へ手伝いに行ったよ」と言う。

そして、

「きょうはお母さんがいないから、
 おれが温かいうどんをつくってやる」

と言って、親父がうどんをつくってくれました。
ところが、温かいうどんのはずなのに、
お父さんのつくったうどんはなぜか冷やっこいんです。

一方、「ただいま」と家に帰って
お母さんがいるときは僕はいつでも
「お母さん、何かないの?」と聞きました。

すると、母は

「おまえは人の顔さえ見れば食い物のことばっかり言って、
 食いしん坊だね。そこに、ほら、芋があるよ」

って言う。

そういうときは決まって、
きのうふかしたさつま芋が目ざるの中に入っていました。

かかっているふきんを取ると、
芋はいつもひゃーッと冷たいんです。
だけれども、お母さんのそばで食う芋は
不思議に温かかった。

これは、もしかすると
女性には理解できないかもしれないけれども、
男性にはわかってもらえると思います。

お母さんが家にいると黙っていても明るいのです。
あたたかいのです。

それで、わたくしたち男は自分の妻に対して、
「日身(カミ)」に「さん」をつけて
「日身(カミ))さん」と言ったんです。

丁寧なところでは、これに「お」をつけて
「お日身(カミ)さん」といったんですよ。

何でしょうか。

この「日身(カミ)」という意味は?

「カ」は古い言葉では「カカ」といいました。
もっと古い言葉では「カアカア」といった。
さらに古い言葉では「カッカッ」といったんです。

「カカ」「カアカア」「カッカッ」
これが「カ」となるんですね。
「ミ」というのは、わたくしたちの身体という意味です。

ですから、「日身(カミ)」とは、わたくしたちの身体は
「カカ」の身体である、「カアカア」の身体である、
「カッカッ」の身体であるという意味なんです。

では、「カカ」「カアカア」「カッカッ」という音は、
古代では一体何を意味したのでしょうか。

「カッカッ」というのは、
太陽が燃えている様子を表す擬態語でした。
「カッカッ」とは、実は太陽のことを指したのですね。

「カアカア」「カカ」という音も同様です。
つまり、わたくしたちの体、わたくしたちの命は
太陽の命の身体であるということを、
「日・身(カミ)」(太陽の身体)と言ったんです。

「カミ」の「カ」に「日」という漢字が当てられているのを見れば、
「カ」が太陽のことを意味しているということがわかるでしょう。

「日身(カミ)」とは、
太陽の体、太陽の身体という意味だったのです。

お母さんはいつも明るくて、あたたかくて、
しかも朝、昼、晩、と食事をつくってくださって、
わたくしたちの生命を育ててくださいます。
わたくしたちの身体を産んでくださいます。

母親というのはわたくしたちを産み、
その上私たちを育ててくれます。

母親は太陽さんのような恵みの力によって
わたくしたちを世話してくれる。

母親はまさに太陽さんそのものだということから、
母親のことをむかしは
「お日身(カミ)さん」といったのです。

「学校給食に命を吹き込む」

木曜日, 2月 21st, 2013
 佐々木 十美 (管理栄養士)

     『致知』2013年3月号
         特集「生き方」より

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【記者:毎日の給食にはどのような思いを込めてこられたのですか?】

先ほども申しましたが、子供たちに
食材の本当の味を覚えてほしいというのが一番の思いですね。

大人になった時にどんな食材を選ぶか、
どんなお店を選んで何を食べるかを決めるのは
学校給食の経験だと思っているんです。

本当の味ですから魚は骨が入ったものを出しますし、
辛口のカレーも出します。

「食べやすいものを」と言う方もいますが、
決して子供に媚びることはしません。

それで残すことがあっても切り方や味付けを変えて
何度でも出します。
そのことによって子供たちの味覚は磨かれていくんです。

使う野菜にも調味料にも徹底してこだわります。
通年で使うものはタマネギ、ニンジンなど数種類に限定し、
キュウリは夏場のみ、カボチャは冬至を過ぎたら出しません。

旬でないものを食べさせることには違和感があるし、
冬場にトマトやキュウリなど
体を冷やす食材をあえて使う必要もない。

【記者:自ら農家に収穫に行かれることもあるそうですね】

同じ環境で育ったものを
体が一番喜ぶという思いがありますから、
旬のものは極力地元産を使って、
その美味しさを子供たちに伝えたいと思っています。

それでも食材全体からすると
三、四割といったところでしょうか。

限られた予算でやり繰りするのも大変なのですが、
ある時「杏がいくらでもなっているからあげるよ」
と言われて伺ったら、屋根の上だったことがあるんです。

登って収穫して天日干しで杏漬けにしましたけれども、
仕事のためなら屋根にも木にも登ります(笑)。

食材について申し添えておくと、
私たちは挽き肉も最初から自分で作るんです。

数年前、北海道の食肉会社の挽き肉偽造事件が起きましたね。
北海道教育委員会のほうから調査に来られましたが、
うちは一切使っていませんから、
まったく問題になりませんでした。

私はプロとして仕事に責任を持っているし、
何があっても揺るがない姿勢で四十年間やってきたんです。

何かあるとすぐ人のせいにしたくなるでしょう。
誰かがこう言いました、ああ言いましたって。

だけど仕事はすべて自分の責任なんです。
真剣勝負と申し上げたように、
いつ辞表を出してもいいという覚悟でいました。

だから私は怖いものなしです。
保護者や担任の先生がいようと
子供たちがいい加減な食べ方をしていたら、
本気で怒りますから(笑)。

      (略)

よく言われます。

「給食ごときになんでそんなに一所懸命なんだ」って。

だけど、私は自分で納得するまで働かないと
仕事をしたことにはならないと思って生きてきました。