「土光敏夫さんから教わったこと」
水曜日, 4月 18th, 2012 『致知』2012年4月号
特集「順逆をこえる」より
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【記者:部屋の額縁に収められている
「情熱に勝る能力なし」というのは、ご自分で書かれたものですか】
そう、これは座右の銘。
私の思い描くリーダー像でもあるんです。
45、6歳の時に土光敏夫さんの本を読んでいて
浮かんできたのがこの言葉でした。
その本には、要するに頭がいいからリーダーになる
というのは限界がありますよ、ということが書かれていました。
なぜか。
頭のよさで勝負しようとすると、
人間の性で自分より優れた人間を蹴落とそうとするんですね、
片方では優秀な人材が欲しいと言っていながら。
これは大なり小なり人間誰もが持つものなんだと思います。
では土光さんはどう言っていたかといえば、
能力ではなく、情熱を争えと。
つまり誰よりも会社を愛して、
そして常に全力投球で会社に命を懸ける、というくらいの
情熱を持つ人こそがリーダーとして最も相応しいということです。
この時ですよ、あぁそうか、
情熱に勝る能力はないなと心底思ったのは。
だから情熱がなくなったら私は社長を辞めますよ。
その代わり情熱が続く限りは頑張る。
だってそれが会社のために一番いいと思いませんか。
本当に命懸けなら会社が順調な時はもちろん、
逆境に立たされたとしても体を張って守る覚悟ができているんだから。
年が若いから地位を譲るとかそういうのは一切関係ない。
ただしもし仮に私よりも情熱溢れる人が現れたら、
その時はその人が社長になるべきだと思います。