まほろばblog

Archive for the ‘人生論’ Category

「リッツ・カールトン式 感性を高める方法」

水曜日, 10月 17th, 2012

  高野 登 (人とホスピタリティ研究所主宰)

        『致知』2012年11月号
          特集「一念、道を拓く」より
   http://www.chichi.co.jp/monthly/201211_pickup.html

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サービスの延長線上にホスピタリティがあるわけではなく、
ホスピタリティがベースです。
そう考えれば、サービスの原則って自ずから見えてきますよ。

それで、こういうお話をすると
「じゃあ、どうしたらホスピタリティの感性が伸びますか?」
という質問を受けることがあります。
「いい絵を見たり、いいお芝居を観ないとダメですか」と。

【齋藤:どのようにお答えになるんですか】

僕は「自分の行動パターンを少し変えてみるといいよ」と
言っているんです。

例えば、最近は水を飲む時に、
直接ペットボトルに口をつけますね。

しかし、古来日本では容器に直接口をつけて飲むという
文化はなかったわけです。
必ずコップに注いでから飲むという美しい所作がありました。

だからリッツ・カールトンでは誰が見ていなくても、
必ずコップに注いでから飲むことを徹底してきたんです。

裏方にいても必ずコップに移してから水を飲むホテルマンと、
何も考えず直接ペットボトルに口をつけて飲むホテルマンとでは、
3年経った時、明らかに違いが出てきます。
1年じゃ分からない。

でも5年経ったら追いつけないほどの開きになる。

あるいは、背広は一日一緒に働いてくれたパートナーであり、
大切な戦闘服ですから、ブラシをかけて、
“きょうもご苦労さま”と声を掛けて洋服ダンスに掛ける。
靴も、毎日でなくても磨いて、木型を入れて下駄箱にしまう。

そういうことを意識している人と、靴を脱ぎ散らかして、
何も考えずにまた翌日履いてくる人とでは、
全く違う存在になるんですね。

そんな小さなことであっても、行動パターンを変えて
自分の習慣にしてしまうと、今度は人の靴や背広に目がいくようになる。
つまりいままでなかった視点が生まれるのです。

また、そういうことを意識しているホテルマンが
ロビーに20人いるのと、していない人たちが20人いるのとでは、
そのホテル全体の雰囲気は全く違ったものになります。

【齋藤:確かに違うと思いますね】

リッツ・カールトンがいま評価されている理由は、
そういう日常の小さなこと、
日本人として当たり前のことをやり続けて、
自分たちの当たり前のレベルを上げていっているという、
それだけなんです。

それだけで感性は磨かれていきます。

これはやった人にしか分からない。
やらない人は「そんなことぐらいで」とバカにしますが、
絶対に変わります。僕が保証しますよ。

「我が人生を支えた人生訓」

月曜日, 10月 15th, 2012

芥川賞&太宰治賞作家・宮本輝氏の
      「我が人生を支えた人生訓」

                『致知』2012年11月号
                 特集「一念、道を拓く」より
  http://www.chichi.co.jp/monthly/201211_index.html

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 ◆ 学者をしていても、商売をしていても、
   ここは人生賭けてなんとか乗り越えなあかんという時が必ずある。

   そして、その勝負に打ち克ち、
   乗り越えて初めて道が拓ける。

   ずーっと順風満帆なんていうことはあり得ませんよ。

 ◆ 人よりいろいろな経験はしてきたかもしれませんが、
   僕自身は深刻になったり、人生を悲観することはなかったんですね。

   そしてどこかに
  「十年先か二十年先か分からないけれど、
   必ずこれが自分の宝物に替わる」
   と思っていたところがありました。

 ◆ 人と人は、その人の最も核となるもの、
   基底部を成している傾向性が共鳴し合う。

   要するにどんな人に出会い、縁を結んでいくかは、
   その人の「命の器」次第ということです。

   そして、その出会いの質を変えるには、
   自分が変わるしかないんです。

 ◆  自分の仕事を最後まで手を抜かずにやることですね。
   みんな与えられた仕事があります。
   主婦には主婦の仕事があるんです。
   
   自分に与えられた仕事、自分に与えられた役割を、
   手を抜かずやり尽くすことが人生では大切だと思います。

 ◆「足下を掘れ、そこに泉あり」という言葉がありますが、
   皆、自分の足元を掘っていったら、
   必ず泉が湧いてくることを忘れているんです。
   
   与えられた仕事をコツコツと地道にやり続けた先に、
   自分にしか到達できない泉がある。
 

「見えない境界線を消し去る言葉」

木曜日, 10月 11th, 2012

  矢崎 節夫 (金子みすゞ記念館館長)

                『致知』2011年7月号
                 特集「試練を越える」より

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 震災後、繰り返し津波が襲ってくる映像を目の当たりにしながら、
 直接被害を受けなかった人たちがなすべき仕事があるなと感じました。
 それはいかに日常生活をきちっと過ごすかということです。

 震災2日後、予定どおり京都で開かれる講演会に向かい、
 その足で東山にある禅林寺・永観堂を訪れました。
 そこでお聞きした法主のご法話に私は深く感ずるものがあったのです。

 「仏教の言葉に代受苦者(だいじゅくしゃ)というものがあり、
  これは本来私が受けていたかもしれない痛みや苦しみを、
  代わりに受けてくれている人を指します」

 この言葉をお聞きした瞬間、私は大きな衝撃を受けました。
 私が受けていたかもしれない苦しみを、
 今回は東日本の方々が代わりに受けている。

 本来であれば私が被災者であったかもしれない、
 そう考えるとすべてが自分の問題に見えてくるのです。

 いま日本全体に一体感が生まれていますが、
 これも時が経てば被災した人と被災しなかった人との間に
 無意識のうちに溝が生じてくるでしょう。

 私自身も、いつしか被災した人々のことを
 他人事のように考えてしまう可能性が十分にあります。

 「代受苦者」というこの言葉は、
 被災者と私の間に横たわる目に見えない境界線を消し去ってくれました。
 私そのものである被災者のために、自分にできることを考えて、
 なんでもしよう、そんな気持ちが湧き上がってきました。

「八十二歳のコンピューターおばあちゃん」

水曜日, 10月 10th, 2012

  大川 加世子 (コンピューターおばあちゃんの会代表)

        『致知』2012年10月号
              致知随想より
            
    http://ameblo.jp/otegami-fan/
              (↑誌面未公開写真アリ)

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「たくさんの高齢者がパソコンのネットで繋がり
仲間意識をもって孤立しないで生きてゆきたいと?
お年寄りがパソコンなんてするはずないでしょう」

平成九年、当時六十六歳だった私は、
区役所に高齢者を対象とした井戸端会議ならぬ
パソ端会議を楽しむパソコングループをつくりたいと
申し出ました。

すると、返ってきたのは冒頭の言葉。
世間はまだそんな認識だったのです。

私は二十代の時に勤めた米国保険会社で
英文タイプを覚えた経験から、
子育てが終わって仕事に復帰してからも
ワープロ、パソコンを使ってきました。

そうして来るべき高齢化社会は、高齢者こそ、
障碍者こそがITの恩恵を享受してよいと思っておりました。

だからこそとにかく行動を起こしたいと思い、
無謀と言われながら区に施設の予約を入れ、
区報に「パソコンで遊びませんか?」と告知を出しました。

迎えた三月二十七日。その日は
朝から雨の降る寒い日でした。

馴染みの電気屋さんが貸してくれた
十数台のノートパソコンを前に、
「こんな日に人が来るかなぁ」と不安に駆られながら
施設で待っていました。

するとどうでしょう。

傘をさし、杖をつき、なんと百五十人もの高齢者が現れたのです。
急遽二部制にしても、入りきれず半分は最敬礼で謝り
お帰り願わなくてはならないという盛況ぶりでした。

そうして始まったこの会を
「コンピューターおばあちゃんの会」と名づけ、
これが全国に広がるのに時間はかかりませんでした。

待ちに待ったお仲間、パソコンを学ぶのではなく、
楽しむこと、遊ぶことを目的とし、
今年で運営十六年目になります。

全国約二百五十名と海外で高齢になられた
日本人高齢者がメーリングリストで繋がり、
時々開く「サロン」と年に二回の全国オフ会を開催するなど、
活発に活動を続けています。

最初は「コンピューターなんて絶対に無理。
チンプンカンプンだもの」と言っていた人も、
実際に触って面白さを実感すれば
どんどん使い方をマスターしていきます。

若い頃にジャズが好きだった人は
ジャズをどんどんダウンロードしたり、
油絵が趣味だった人は写真の加工をして作品をつくったりと、
自分の趣味を掘り下げ高齢者の底力を発揮しております。

また、みるみるお洒落になっていくのも
皆さんに共通していることです。
長く年を重ねると友人は減っていく一方ですが、
指先一つで繋がる仲間ができ、

最近はやはり高齢者問題が深刻な中国から取材を受け、
iPadの翻訳機能を最大限に活用、
中国と日本の高齢者同士の友好を深めました
(当会HPに掲載 http://www.jijibaba.com)。

いま、高齢者の「おひとり様」が増えています。
伴侶を失った後、煩わしいけれど子供家族と同居するか、
寂しいけれど気楽に一人で暮らすか。

どちらを選ぶかといえば、
いま多くの高齢者は気安さを選んでいます。

壮年期には分からないものですが
朝、目が覚めた時のシーンとした寂しいような静けさ。

でも、そんな時にパソコンを起動させれば、全国の仲間たちが
「昨日はどこに行った」「何を食べた」
とおしゃべりをしています。

それにコメントを返せば、また返信がくる。
そこに自分の居場所を感じるのです。

おひとり様が一年で一番寂しいのは元日の朝です。
数年前までは子や孫たちと一緒に過ごすのが日本の風習でしたが、
最近はおばあちゃんが
「大変だろうから、無理しないでいいわよ」と言えば、
本当にスキーにすっ飛んでいってしまう。

そうだ仲間たちと過ごそう。
そうして今年の元旦に初めて
「おひとり様の元日会」を開きました。

元日の朝、都内ホテルに集結。互いに送り合った
電子年賀状をiPadで確認。

和室でお屠蘇を飲み、お雑煮を食べた後、
楽しいひと時を過ごしましたが、
私はこの会は、単に寂しさを紛らわせるだけで
終わらせてはいけないと思っていました。

何か自分たちが世の中で役に立ち、
必要とされていることを実感できる活動をしたい……。

そんな思いを巡らせていた時、
「大川さん、いまの大学生は日本の伝統的な
お正月のことを何も知らないから教えてあげてください」
と、慶應義塾大学の先生からの申し出がありました。

そこで元日の午後はおばあちゃんたちと大学院生のコラボが実現。

「昔はお正月にこんなことをして遊んだのよ」

「昔、会津のお雑煮はこうだったのよ」

次から次におばあちゃんたちが思い出を語れば、
学生たちは「へー」「ほー」と目を丸くして
iPadやiPhoneでサクサクと昔の習わしを検索。

そして、おばあちゃんたちとの様子を写真に撮って
どんどんFacebookにアップしていくのです。

一日が終わり、
「私たちもまだまだ世の中に役立つことがあるのね」
とおばあちゃんたちが嬉しそうに帰っていったことが
この会を開いた一番の収穫でした。

いま、私たちにとってパソ端会議は
何よりの「予防医学」であり、
同時にガスや水道と同じくライフラインになっています。

三日前にたった一人で孤独に死んでいた――。

そんな人を減らしていかなければなりません。
その思いで

『コンピューターおばあちゃんといっしょに学ぶはじめてのiPad入門』

という本もまとめました。

パソコンで楽しく遊びながら、
たくさんの仲間たちと繋がりましょう。
パソコンの向こう側には、まだ見ぬ広い世界が待っています。

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★コンピューターおばあちゃんこと、
 大川加代子さんの写真をブログで紹介しています。
 82歳とは思えぬ若々しさです!(誌面未公開)
 http://ameblo.jp/otegami-fan/

「科学研究の2つの使命」

水曜日, 10月 10th, 2012

      山中 伸弥 (ノーベル医学生理学賞受賞者・
              京都大学iPS細胞研究所所長)

              『致知』2012年11月号
               特集「一念、道を拓く」より
  http://www.chichi.co.jp/monthly/201211_pickup.html

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僕も科学研究には極端に分けて2つあると思うのですが、
1つはいま川口先生が言われた、
すでに分かっているようなこと。

誰かが「警視庁の調査みたいだ」と言いましたが、
犯人は絶対にいることが分かっていて、
問題はいかに早くその犯人を見つけ出せるか、
しらみ潰しで探していく研究の仕方ですね。
これはこれで大切です。

片や昔、大航海に乗り出されたように、
そこに何があるか分からないけれども、
行かないわけにはいかんでしょうと。

行ってみたらきっと何かがある。
それが役に立つか立たないかなんて分からないけれども、
行くこと自体に価値があると。

僕はその両極端、両方ともが非常に大切だと思うんです。

【川口 山中先生の場合は、その発見が
    利用にも繋がっていくところが素晴らしいですね】

確かに、僕たちも最初は大航海型で、
ともかく乗り出そうという感じで行ったのですが、
たまたま宝の山のようなものが見えてしまって。

すると今度はそれをいかに完成させるか、
いかに早くゴールへ辿り着くかが問題になっていて、
iPS細胞ができる前後ではまるで別の仕事のようになっています。
いまはもう完全に「開発」の段階ですね。

       (略)

特にいまは震災の影響もあって、
国民への理解をと言われると明確なゴールを示さないといけない。
事業仕分けもあって科学技術予算はますます圧迫されていますし。
iPS細胞は図らずも開発の段階へと入っていきましたが、
でも、それだけをやっていたのでは次がついてこない。

新たな発見のためには未来への投資が不可欠です。

【川口:おっしゃるとおりです。出口の見える研究、なんてよく言われますが、
    あんまり近い出口ばかりを見過ぎていますよね】

はい、その両方が絶対に大切です。
10年ほど前にはiPSのアの字もなかったですし、
僕らも出口なんか全然見えていなかった。

でも科学研究の場合、どこから芽が出てくるか分かりませんから、
水はちゃんとやっていかないといけない。
したがっていまの2つのことを同等に議論したり、
同じ天秤にはかけられないと思うんです。

「はやぶさ」を奇跡の帰還へと導いたリーダー

水曜日, 10月 10th, 2012

  川口 淳一郎 氏の名言

       『致知』2012年11月号
         特集「一念、道を拓く」より
 http://www.chichi.co.jp/monthly/201211_index.html

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 ◆  本当に好きなものを見つけるまでは、
   三日坊主で大いに結構だと思うんです。

   もちろん一日でやめちゃダメですが、
   三日坊主は「二日頑張った」というところが大事なんですね。
   それで三日目に展望が開けなければ、別の道へ行けばいい。

 ◆  自分が本当にやりたいことが何かに気づくには、
   ある瞬間が来なければダメなのだと思います。

 ◆  何よりも大事なのは、
  「自分がこれをやり遂げよう」という気持ちが
   プロジェクトの中に埋め込まれているかどうかです。

 ◆  誰も足を踏み入れていない所へ
   乗り出そうとする気持ちそのものが、
   すでに独創なんですよね。

 ◆  何か新しい成果を出してこよう、発見しようと思ったら、
   漫然と覗き込んでいちゃダメなんですよ。
 

 『致知』11月号特集テーマ「一念、道を拓く」
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   ▼はやぶさ×iPS細胞  世紀の偉業を成し得たもの
       川口淳一郎(宇宙航空研究開発機構シニアフェロー)&
       山中伸弥(京都大学iPS細胞研究所所長)

「ノーベル賞受賞者・利根川進教授への質問」

水曜日, 10月 10th, 2012

おめでとうございます!!!

         山中 伸弥 (ノーベル医学生理学賞受賞者・
              京都大学iPS細胞研究所所長)

       『致知』2012年11月号
         特集「一念、道を拓く」より
  http://www.chichi.co.jp/monthly/201211_pickup.html

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臨床だったら予想外のことが起こると、
こりゃもういかんとなりますが、
研究ではそうやって予想外の結果を楽しめることが
大事だと考えています。

それにしても、僕の場合は研究テーマが
ころころころころ変わって……(笑)。

【川口:私はいいと思いますけどね。
    研究テーマは変えるべきじゃないかと思うんです。
    そうやってどんどん違う世界を、
    違うページを次々に開いていくようでないと、
    逆にダメなんじゃないかなと】

なるほど。いや、そのとおり、
僕もいま結果としてそう思うのですが、
30代の半ば頃は自分のポストもまだない段階で、
これから教授職などにトライしていかなければと考えていた時期でした。

そんな時、周りの先生方の話を聞いていると、
「日本では研究の継続性が評価される」ということが
よく言われるものですから、これは大変だと。

僕は整形外科医に始まって、
僅か数年で2回も3回も研究テーマを変えている。
かえてないのは嫁さんだけやなぁ(笑)、
なんて思いながら、これでいいのかなと少し不安になりました。

そんな時に偶然、ノーベル賞を受賞された
利根川進先生の講演を聴く機会があったんです。

【川口:もともと免疫の研究をされていて、
    その後、脳科学の研究に移られた先生ですよね】

はい。まさに途中でテーマをころっと変えられたわけです。
それで講演後の質問タイムに勇気を出して手を挙げました。

「日本では研究の継続性が大切だと言われますが、
 先生はどうお考えですか?」。

すると先生は「一体誰がそんなことを言ったんだ」と(笑)。
「重要で、面白い研究であれば何でもいいじゃないか」と言ってくださって、
凄く勇気づけられたことを覚えています。

山中伸弥氏の名言

木曜日, 10月 4th, 2012

世紀の大発見「iPS細胞」の生みの親
        
         『致知』2012年11月号
           特集「一念、道を拓く」より
  http://www.chichi.co.jp/monthly/201211_index.html

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 ◆  メンバーが本当に、「心」で動いてくれないとダメですね。
   決して給料が高いわけでもなし、
   ミッションは難しく、時間もかかる。

   だから心意気で動いてくれる人をどれだけ集められるかは
   本当に大切だなと感じます。

 ◆  独創的じゃなくてもいいからまず実験に取り組んでみて、
      その結果を色のない目で見られるかどうか。
   独創力を発揮できるか否かは、
   そこにかかっているんじゃないかと思います。

 ◆  新たな発見のためには、未来への投資が不可欠です。

 ◆  科学者として成功するためには、
  「VW(ビジョン&ワークハード)」が大事だと
   恩師から教わりました。

   長期的な展望としっかりした目標を持ち、
   懸命に努力を重ねればその一念は必ず叶うということです。

 ◆  大事なのは少しでも多くの知的財産を生み出すことで、
   欧米に対する競争意識を保ち、
   その競争意識を研究の促進へと繋げていくことです。
 

※対談では、世紀の大発見が生まれるまでの軌跡や
 日本がこれから進むべきなどについて
 貴重なお話をいただきました。

 どうぞ楽しみにお待ちください。

札幌木鶏クラブ・記念講演会

水曜日, 10月 3rd, 2012

致知出版社より、正式に記事転載の許可を頂き、

毎日のように、『致知』の訓文を掲載しております。

お陰様で、先人の心の軌跡を学び、毎日の糧とさせて戴いております。

この度、『致知』を学ぶ場としての「札幌木鶏会」の設立25周年を記念し、

札幌で講演会が開かれます。

どなたでも、ご参加できますので、是非ご出席ください。

講演会は無料です。

「才能を私物化してはならない」

水曜日, 10月 3rd, 2012

   稲盛 和夫 (京セラ名誉会長・日本航空名誉会長)

       『致知』2012年10月号
          特集「心を高める 運命を伸ばす」より
   http://www.chichi.co.jp/monthly/201210_pickup.html

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私は様々な方のおかげで若い頃に京セラを
軌道に乗せることができましたが、その過程で
「私の技術をベースに創業し、私が夜も寝ないで経営してきた会社だ」
という、一種の驕りが出たことがありました。

しかし、すぐに考えを改めて、
「才能を私物化してはいけない」と常々自分に言い聞かせてきたんですね。

京セラやKDDIを立派な会社にして、
JALの再建も果たして、確かに私には
少しは経営の才能というものがあったのでしょう。

しかし、そういう才能を私が持っている必要があったのだろうかと。

この社会は一つの演劇を演ずる劇場のようなものだと思っています。
劇団には主役を演ずる人、脇役を演ずる人、
大道具、小道具、衣装の準備をする人、
様々な役回りがあるわけです。

現代において、京セラやKDDIをつくる人は
必要だったかもしれないが、その才能は
別に私が持っている必要はなかった。

同じような才能を与えられた人がいれば、
JALの再建はその人物を中心に行われたと思うのです。

私はたまたまこの世界の創造主から才を与えられ、
役割を与えられた。

ならば、その才を自分のために使って
「俺がやった」などと自惚れてはならない。

やはり従業員のため、世のため人のために使う。
それがリーダーだと思い、これまでやってきました。

最近ことに強く思いましてね、夜、寝付いたらいつも
「こんなに素晴らしい人生を与えていただいたのだから、
  なんとか世の中にお返ししたい」と思っているんです。

盛和(せいわ)塾ではずっと
「心を高める 経営を伸ばす」というテーマを掲げていますが、
これは経営だけの話ではないと思っています。