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2011年03月07日

●奥田シェフinまほろば #5 立食会

奥田シェフの料理は、塩と水のアートともいえる。
数十種類の塩をメニューによって使い分け、水もそれという。
ソースやオイル中心の西洋やアジア料理に対峙する日本料理。
その微細な感性は、森林から湧き出す水の国。
海水に囲まれた塩の国。

11.2.26. 奥田シェフ 立食会 みんな2.jpg

この最も単純で複雑な主役でもあり、脇役でもある素材。
これを際立たせることこそ、料理人の真骨頂であろう。
その中でも、懐石は料理の粋ともいえる世界に冠たるものである。
しかし、現代ではそれを庶民が味わうには余りにも敷居が高過ぎた。

11.2.26. 奥田シェフ 立食会 壁.jpg

もっと市井に引き戻すには、イタリアンは格好の位置にあった。
その時代の要求といおうか、必然性といおうか。
奥田シェフの登場は、ある意味、的を得た時の為せる業であった。
世の中を変革するというのは、天の時、地の利、人の和が必要だ。

11.2.26. 奥田シェフ 生ハム パスツール.jpg

その意味でも、食の脱グルメ化、庄内という田舎、生産者という共同体。
これらの結ばれた点と線が、大きな受け入れという面を作っていた。
その意味でもラッキーであり、時代の寵児とも言える。
前置きは、その位にして、みんなを前にしてのパフォーマンス。

わらい 立食 1.jpg

一つまみの「七五三塩」をパラリとフライパンに降る。
そこに鹿肉のリブロースを敷き詰め、オイルを垂らさない。
火を止めて春菊を余熱で焼くだけ。
鹿肉の低脂肪で多い鉄分と、春菊の苦味の鉄分を重ねる。

わらい 立食 2.jpg

先の五味の説明であった、同質の味を和合させて、止揚された別な味を生む。
苦味が打ち消されるのでも、重なり合うのでもない次元。
嗜好品から健康志向へと料理の方向性を導く。
シェフの技術を披瀝するというより、家庭でシュフが再現できる智恵と工夫を伝授する。

rissyoku  pasutu-ru.jpg

正に、料理界の革命であろう。
そんな入り易く、出難い調理の窓口をあっさりと公開してくれたシェフ。
みなさん、満面の笑みをほころばせながら、皿から皿にまわる。
その様子が、写真から溢れ出る。

rissyoku  yukari.jpg

これは、千載一遇の又とない好機でなくてなんであろうか。


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