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2011年03月05日

●奥田シェフinまほろば #1 チッチを採用

11.2.26. 奥田シェフ 調理場.jpg

2月の26日、とうとうその日が来た。
若いスタッフが企画した夢が実現したことを先ず讃えたい。
ピュアな想いは、心を動かす事実をみんなが見届けたのだ。
ゆかりちゃんは、ソフテを改革したくて、
矢も盾も堪らず直接、講演依頼の電話をかけた。

奥田さんが語っていたが、その時、トマムの現場にスタッフが居ず、
自分で電話を取ったと言う。
この時、チャンスの女神が微笑んだのだろう。
そして、電話越しから響くその声に何かを感じたらしい。
矢継ぎ早に話すその内容より、心動かされるものがあったに違いない。
普段は、この手の依頼は絶対受けないと言われた。

この一件でも、奥田さんがどういう人柄か偲ばれて、心温まる想いがした。
有名人ともなると、そこに一線を引くものだが、垣根なしの同じ目線が嬉しい。
ともあれ、あの「奇跡の皿」といわれたシェフとの「奇跡の縁」に感謝したい。
どれほど、まほろば関係者が歓喜し感謝したか計り知れない。

11.2.26. 奥田シェフ 事務所 打ち合わせ.jpg

当朝、トマムからいらして、私の室でしばし打ち合わせをし、又お話しを伺った。
単に感性だけで動かれているのではなく、その内に整然とした理論体系があり、
そして、独創的な発想もあり、興味深いものだった。
例えば、ミネラルの機能性と体を形成する脂肪・蛋白質などの栄養素がある。

さらに、中国の陰陽五行の五味という感覚がある。
植物の苦味などあれば、通常対極の甘味などで
それを打ち消して中和させようとするが、
シェフは逆に、苦味に苦味を持ってくるという。
そうすると、そこに香りが立ち上がるらしい。

11.2.26. 奥田シェフ 事務所 記録.jpg

さらに、そこに新しい食感が生まれ、知識が加われば、
それはモルヒネとなって、料理は、恍惚として人をして酔わせるのである。
奥田マジックの一端が伺える、一レクチャーであった。
何と、そこに登場したのが、あの熟成「ti-tie/チッチ」である。

11.2.26. 奥田シェフ 事務所 チッチ.jpg

彼の「醗酵仮面」こと小泉名誉教授に「世界一臭くて、世界一旨い!」
と言わしめた2年熟成の『くさびら』でもある。
チッチは色々なタイプが出来て、フレッシュから濃厚なブルーチーズ様なものまで、
熟成期間や環境状況によって異なるから面白い。

奥田シェフが、その場で食べた「チッチ」は、冷蔵庫の隅に忘れ去られたものだった。
この臭みと味は、好き嫌いが分かれるところだが、
くさやが何百年も継承されているように、
「臭いは旨い」のカテゴリー、好事家の珍味でも成立するのではないかと考えている。
シェフは、何と、この取り合わせに焼きスルメを持ってくることを閃いたのだった。

11.2.26. 奥田シェフ 事務所 チッチ試食.jpg

試食して確かにイケる、互いの臭みがせめぎ合って、まったりした落ち着きを払っていた。
これは不思議だ。旨味が旨味を引き立てるとでも、言うのだろうか。
前回にも書いたが、味覚センサーが始動すると、UFOキャッチャーが相手を探し、
即座に捉えて妙合させる、それはえもいわれぬ新奇な組み合わせだ。
既成概念に囚われない、驚嘆の奥田ワールドがそこから拡がる。

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