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2010年07月29日

●「憐れみ給え、わが神よ」

これはこれは、貴重なお宝映像。
彼の歴史的名ヴァイオリニストのユーディ・メニューインと
アルトのユーラ・ビーラ嬢が唱うバッハの「マタイ受難曲」
『憐れみ給え、我が神よ』の劇的な告白場面。
若い時、何度もこの場面で涙した。

使徒ペテロに、イエスが
「明らかに告げる。汝は今日、今夜鶏が二度鳴く前に三度我の事を知らぬと言うであろう」
と予言した通り、それを事実とした己の愚かさを悔いて、この劇的な独白をする。
タルコフスキー監督の映画「サクリファイス【犠牲】」にこのアリアが流れる。
同名の曲と本を武満徹と柳田邦男が創作している。

嘆くのは、独りペテロだけではない。
ある期待を裏切り、ある愚かな行為で毎日を過ごす。
私たちも、また一人一人のペテロなのだ。
「神よ、憐れみ給え」と。


(バッハ演奏の申し子と言われたカール・リヒター指揮によるマタイ)

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