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2011年07月20日

●森・川との連環基本に、豊かな海を取り戻そう

宮城カキ養殖の畠山重篤氏、札幌で講演
                        (水産新聞 7月18日)

漁民の手による植樹運動の大切さを全国に広めた、宮城県気仙沼市唐桑のカキ養殖業者でNPO法人「森は海の恋人」理事長の畠山重篤氏が、このほど札幌市内で講演した。東日本大震災からの復興についても「森・川・海の連環から考える」とする畠山氏の講演に、参加者は典剣に耳を傾けた。以下、要旨を紹介する。

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日本には、2万数千の河川があり、最後は海に注いでいる。沿岸各地の「海の幸」は、海水(塩水)だけで育つものではなく、川から運ばれてくる養分が大きな役割を果たしている。淡水が海に注いで交わる「汽水域」が重要で、これがなければ、プランクトンも海藻類も魚類も育たない。このシステムの解明は、林学と水産学とが別々に研究されていてはできず、トータルに研究するのが「森・川・海の連環学」。

●鉄分の役割
森・川から海に運ばれる養分のうち、特に鉄分の役割が大きい。20年ほど前にアメリカの学者が初めて解析したため、科学としての歴史は浅いが、生きているコンブ表面の茶色は鉄分の色。汽水湖のシジミ漁場の中でも、鉄橋の下ほど大シジミが獲れる。
鉄はヒトの血中ヘモグロビンにも含まれる。動脈中で酸素を運び、静脈で二酸化炭素を運ぶ役割を果たす重要な成分だ。現在の海は、いわば「貧血」。鉄分が減っている。例外もある。オーストラリアのシャーク湾では、海底に鉄、窒素、リン、ケイ酸などが豊富で、草食海獣のジュゴンが食べ尽くせないほど、海藻が次々に生える。
植物にとって鉄の役割が大きいことは昔から知られ、鉄分豊富な赤土を田んぼに客土したり、盆栽の土に釘を刺したりしてきた。
この鉄分の海への供給に、森林が大きく関係している。枯れ葉が落ちて腐葉土となり、地下水に溶けて川から海へと流れ出す。効果はコンブの名産地を生み出した。
北海道日高管内の「特上浜」井寒台には、すごい数の小川が注いでおり、「白口浜献上昆布」の南かやべ沿岸には豊かな広葉樹林と大小河川があり、鉄分を供給している。
土中の鉄はフルボ酸と結合し、さらに植物に吸収しやすくなる。襟裳岬のコンブ漁場は、まさにフルボ酸鉄の色をしている。
フルボ酸鉄をストツプさせる、ダム建設の問題も研究されている。コンブなど海藻類の敵は.石灰藻だが、腐葉土から地下に染み川を下るフルボ酸鉄は石灰藻を着生させない働きもある。

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●アムール流域
三陸沖は「世界3大漁場」といわれる。「暖流と寒流がぶつかり、プランクトンと魚が止まるから」と教わったが、果たしてそれだけか。
鉄分はどこから運ばれてくるのか。20年前にアメリカの研究者が、中国から飛来する黄砂に含まれる。ロシア・アムール川流域の大森林から運ばれる、と明らかにした。
アムール川の養分が、千島列島の間を太平洋に抜け、襟裳岬や三陸沖に達している。道東や日高のコンブ類にも影響は大きいはずだ。
だとすれば、ロシアと中国国境のアムール川流域の自然を守らなければ、北海道と三陸の漁場も守れない。地元の森・川も、需要だが、アムール川をどうするのか。アムール川支流の中国・松花江流域の工業地帯では何が起きているか分からず、不安材料だ。

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●食料自給率
国は「食料自給率の向上」を、コメなど穀物を中心に語るが、沿岸漁業のことを考えれば、コメの消費などすぐ増える。すしネタは海産物、一緒に消費を増やせばいい。
ノリは年問100億枚消費されるが、そのうち30億枚はコンビニおにぎり。1枚で2個、60億個が売れている。これに昆布つくだ煮を入れるなど、うまいおにぎりを作れば、コメの消費はあっという間に伸びる。農・水の縦割り行政の弊害を解消すればいい。
三陸の海は、大津波による被害で大変だが、海は決して壊れていない。森・川との連環がしっかりしているから、魚はどんどん寄ってきている。
植樹祭を「海を作る」というコンセプトで開いたり、豊かな海づくり大会で「磯焼け解消と種苗放流を同時に」と訴えたりすることも必要。両行事に参加される天皇皇后両陛下はすでに、「一体のもの」とご承知だ。

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◆プロフイール◆
はたけやま・しげあつ 昭和18年中国・上海生まれ。気仙沼水産高卒業後、家業のカキ養殖を継ぐ。海の環境を守るには、海に注ぐ川と上流の森を守ることが大切と気付き「牡蠣の森を慕う会」を結成。「森は海の恋人」をキャッチフレーズに漁民による広葉樹の植林運動を進める。活動は小・中学校教科書でも紹介され、上流域の子どもたちを養殖場に招く環境教育にも力を入れている。平成15年緑化推進運動功労者内閣総理大臣賞。17年京都大学フィールド科学教育研究センター社会連携教授。21年「慕う会」を改組し「NPO法人森は海の恋人」設立。理事長を務める。

コメント

まいどです。
森・川・海の連環学。言われればそうだなーと思う事ですが、言われるまで単体で考えてました。  広い視野で物事をとらえる。 海を取り戻す為に森と川を豊かに! 
キャンプに海に最盛期ですので今日の自分のmixi日記で記載して、豊かな国土を取り戻そうと仲間に投げかけます!

8月28(日)の朝日ニュースターの番組を見て感慨深いものを感じました。
各個人が協力できることがあるので参考にし、、暮らしを立てていくつもりです。

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