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2008年11月11日

●造粒から

出張から帰ると、出社せず、すぐ道立工業試験場に出向く。
セラミックの造粒試験のためだ。

たかが造粒、されど造粒で、
これで中々奥が深く、毎回指導員に教えられながら技を磨く。
水分量やパンの角度、速度等々見付けながら10時間作業を続けた。

造粒 2.jpg

終盤近く、漸くコツが掴めそうになる。

思えば、人生もこれに似て、
リタイアの時期、定年の頃が、一番物事が見えてくる。
折角何十年も積み重ねたノウハウを捨てて、
年金生活に入るのは、何とも惜しまれてならない。

そこを、中国などに掬い上げられ、
技術経験の蓄積を、惜しげもなく他国に渡すのだ。
それも短期間で、しかも低賃金で。
これは頭脳・技術の流出で、国の宝の散逸以外の何物でもない。

何故、国はこうも易々と逸材の放出を、
手をこまねいて見ているのか、理解しかねる。
その結果が、既に充分すぎるほど現れているではないか。
アジア圏における凄まじい経済復興の陰には、
日本の戦後復興した技術力の流入が効を奏している。

定年制度は確かに、若者を育てるには必要であるが、
老練の見識と経験を蓄積し取り出せる「知恵バンク」的な何かを
構築する必要性があるのではなかろうか。

老後、ゲートボール等に興じて体力造りも良いが、
一方、今までの経験を社会に還元することこそ、
何よりの生き甲斐ともなろう。
やはり「生涯、現役」でなくてはならない。

造粒 3.jpg

造粒作業の隣では、北大生が
「磁気プレート冷凍装置」の実験を行っていた。
フロンガスを使わない画期的な冷凍技術で、
世界でも初めての研究だそうである。
若い10代の彼の眼には、輝かしい光りと望みがあった。
こういう有能な子を、うまく育て上げるのも先覚の役目なのだろう。

私のセラミック製造技術はまだまだ人に教えるまでのものではないが、
ほとんど0-1テストで自分が編み出したものだった。
これは手取り足取りというより、直感の次元でもある。
これもある意味、継承の世界かもしれない。

外はみぞれ降る夜空、そんな思いにかられた一日であった。

造粒 4.jpg

コメント

直感の次元

... understand

○ overstand


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