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2008年07月17日

●戦前のカラー映像


(戦前の日本 昭和初期のカラー映像 1/5)

戦前を伝える写真・映像はみなモノクロで、
活動写真のように動きもぎこちなく、
まさに古色蒼然とした彩りに、自然も人も退色している。
誰もが、昔をイメージするのは白黒の世界で、
いずれも古めかしいのではなかろうか。

ところが、先日カラーフィルムで昭和初期の日本を写した映像を見て驚愕した。
現代に通じる息づきが、人の表情や動きそして美しい着物の色合に連なって感激したのだ。
自然の風光も豊かで古き日本を彷彿とさせるに充分で、街も活気に溢れ、昨日の事のように偲ばれる。
しかし、それは現代の時代劇カラーとは全く印象の違うものなのだ。
作られた物ではなく、現実の説得性に迫るものがある。

戦争を境とした断絶感が一遍に修復され、歴史が直線で繋がった感じがしたのだ。
そうすると、昭和ばかりでなく、明治も江戸も室町も平安も豊かな色彩で眩くばかり輝きだしたのだ。
フレームが取り払われて、古代と現代が一体になった。

芭蕉の俳句などは、水墨の禅的詩情ばかりが先行していたが、
四季折々の花鳥風月が総天然色(古いね)で甦る。

死んだ親父も祖母も又、このイキイキした彩りの中で、青春を送り、後半生を送ったのか、
と想うと、嬉しくもあり、また悲しくもあり、自分の中にその人生が行き交い始めた。


(戦前の日本 昭和初期のカラー映像 2/5)

(戦前の日本 昭和初期のカラー映像 3/5)

(戦前の日本 昭和初期のカラー映像 4/5)

(戦前の日本 昭和初期のカラー映像 5/5)

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