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2007年11月17日

●金継ぎ

ケイタ皿.jpg

佐藤ケイタさんの焼き締めの大皿を購入したのは、10年以上も前のことだった。
その頃、先日の三国シェフが道内の食材と器を使った料理の企画で、
一番先に指名されたのが、ケイタさんの作品だった。

そして、ある日、三国シェフがケイタ宅を訪問して、自ら料理して振舞ってくれた。
大層、そのざっくりした大振りの表現に、同じ北海道人としての根底を見たのだろう。
確かに、ケイタさんの登り窯の焼き〆は、誰彼表現出来えない魅力に溢れている。

ケイタ皿 2.jpg

そして、その大皿だが、子供がこれを棚から落として、
二つに割ってしまったのだった。
それは、ケイタさんの作品集にも載っていた名品でもあった。
どうにもならず、またどうにもモッタイナイので、そのままに放っといていた。

ところが、今年に入って慰安会を酒房「藍」さんで開いた時、
そこの女将さんの米山さんが「金継ぎ」したグラスを出されて、
これにいたく感心してしまったのだ。
そこで、思い出したのが、例の大皿だった。
米山さんに早速頼み込んで修復されたのが、これである。

物が物だけに、苦労されたらしく、しかし、
その物の出来栄えの見事さは、修復前より、
一段と風格ある佇まいになって驚いてしまった。

当のケイタさんも、感心して「前よりいいなー」
と眺めていた。
大概の地味の中に、派手が微かに光る。

金継ぎ 1.jpg
(青磁茶碗 銘「馬蝗絆」 重文)

そもそも、金継ぎは、金繕いとも言い、欠け、割れ、傷ついた陶磁器を漆で継ぎ、
傷に純金で蒔絵をして繕う伝統の技法のこと。
単なる補修に留まらず、傷の繕いを一つの文様とし、
美しい「景色」として見立てている。

名立たる国宝や重文にも施された器もあり、
その味わいは反って、本体を引き立てて余りある。

金継ぎ 2.jpg
(青磁鳳凰耳花生 銘「萬聲」 国宝)

人生、あるいは一回壊れても、二回割れても、三回崩れてもいいじゃないの。
継げばいいんだよ、継げば。
何でも良いんだよ。
継ぐものがあれば。

茶碗なんて何時か壊れる物。
人間なんて何時か死する者。
同じじゃない。
無傷で人生終わったって面白くない。

継ぎはぎだらけでも、結構さまになるじゃない。
まっさらより、味わいがあって、面白く、
第一、安心だよ。
あっ、私と同じ傷ついた人、物、傷物同士だ。
そうだよ、世の中、みんな傷を舐め合いながら生きているんだ。
だから、金継ぎ同士だ。

金だよ、金。
無垢には必要ないけど、
金を継いで輝けるんだ。

人生、やり直し、やり直し。
何時でも、やり直しがきくんだ。
壊れたって、もう嘆くまい、悲しむまい。

継げば、以前より輝きだすあなたが居る。
私が居る。

                    主人

コメント

日本には素晴らしい技術(芸術)がありますね。漆も割れるとつなぎます。こうして大事にしてきたんですね。その後継者が育って欲しいです。ドイツのマイスターのように大切にされるといいのに・・・。
三国シェフをテレビの番組でみて味覚の鋭さakunaki tuikyu
butukattu kizutui shuufuku can I ?

大丈夫、
大丈夫、
大丈夫!!
心が開放されたら、全部
修復、修復、修復。
簡単、簡単、簡単!!

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