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2010年05月25日

●妙味必淡

若い頃は、濃厚な味付けや
質より量とばかりに、ドカ食いをしたものである。
幸い、代謝消化能力も盛んで、なかなかへこたれない臓器は、
ある日、耐えられない悲鳴を上げる。

その時が、青春に終わりを告げる日で、
青年は次第に、食べられなく呑めなくなって来た自分に気付く。
そんな身体の変化と共に、周りを見回す眼差しも変って来て、
次第に味は薄く、量は少なくとなって老年を迎える。

長生の要諦は、慎みにあるという。
ところが修養の無さか、これがなかなか出来ない。
君子の交わりは淡きこと水の如し。
何事もほどほどの淡白が、長続きする秘訣なのだろう。

省みれば、私の性格のしつこさはホトホト呆れるばかりだ。
まだまだ青いな、と嘆く。
日本食の味わいの極みも、結局は枯淡の境地にある。
かの小泉武夫先生の一文を堪能したいものだ。

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「妙味必淡」

これは、江戸時代より日本の粋な味を表す良い言葉があります。

意は下記の如くです。

「すばらしい本物のうま味の真ずいは、
濃い味でなく、淡い味だ」

という意味です。

この言葉に似たのが、
「濃処の味(あじわい)は常に短く、
淡中の趣は独り真(まこと)なり」

濃い味でうまい!
と思うのは、その時は、
たしかにうまいのだが直ぐに忘れる。

それに対し、
淡いうま味はいつまでも続いて、
その味こそ本当の味なのだ、
ということです。

                          小泉武夫

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