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2008年11月02日

●つけづけ漬物かわら版 5 「洗い大根風景」

干し大根 風景 1.jpg

北国の秋の風物詩。
それは稲架がけにされた「大根干し」。
こんな光景は、最近とんと少なくなってしまった。
町は都会化、住いはマンションで、その干し場がなくなり、
年中、スーパーで漬物が出回り、あえて面倒な
手作り沢庵を作らなくなってしまった。

タクアン 3.jpg

伝統的な製法では、干し大根を米糠と塩で仕込む。
風味付けに昆布や唐辛子などを加え、
ウコンやクチナシで黄色に色漬けするのが一般的だ。

しかし現代では、塩や糖液に漬けて水分を除いた
「塩押し大根」や「糖絞り大根」がほとんど。
また、甘味料やうま味調味料などで味付けし、
人工着色料で色づけ加工する。
これは、消費者の嗜好が、より甘く低塩分な漬物を
求めるようになった時代の趨勢でもある。

沢庵和尚.jpg

ちなみに、「沢庵漬け」は、あの宮本武蔵に出てくる沢庵和尚から始まったとされる。
しかし、その真偽のほどは定かではない。
沢庵宗彭が創建した東海寺を、徳川家光が訪れた際、
大根漬けを供した所、たいそう気に入ったという。
「名前がないのであれば、『沢庵漬け』と呼ぶべし」
と、語ったと伝えられている。

また一話。
何故、おかずの沢庵は、二切れなのか?
この習慣は、江戸時代から始まったといわれている。

当時、侍に沢庵を一切れ、もしくは三切れだけ出すのはタブーだった。
それは、沢庵を一切れ出したら、侍は
「一切れ(人を斬れ)と申すのか!」と怒り、三切れ出せば、
「三切れ(身を斬れ、つまり腹を切る)と申すのか!」
と、怒り出したためという。
それから、沢庵は、二切れ出すという習慣が生まれたらしい。

しかし、上方では沢庵を三切れ出すのは、縁起を担ぐ(三方)ものとして、
関西の食堂では、あえて三切れの沢庵付けを出す所もあるという。

漬物好きの私など、内地に行って、
何で2,3切れで我慢できるのだろう、と不思議でならないのだ。
イカそーめんみたいに、一箸で4,5枚つかんで一遍に食べたいものだ。

洗い大根風景 5.jpg

しかし、食べるのは簡単だが、作るのは難しい。
今日も朝から大根の洗い作業が続いている。
どうやって、洗っているのだろう?
と、皆さんは思っていることでしょう。
それを、今日は公開しますね。

洗い大根風景 4.jpg

それは一つに洗い機械があって、能率化がアップしました。
上下にブラシの付いた洗い機、ローラーが回転して、
先送りしながら、ブラッシングします。
まほろばでは、旧式の中古品を貰い受けて動かしています。

それで、落ちて来た白い大根を、
下の水桶で、人手で束子(タワシ)で、
取れない泥を更に落とします。
キレイに並べ、10本縛りでビニール袋に入れて、
出来上がり。

山を流れる清水で洗うと、手足がしばれるように凍えます。
そんな厳しい作業の末、出来た洗い大根です。
しかし、まだ大根は3,4割抜いただけ。
まだ、8000本以上あります。
苦労は続きます。

洗い大根風景 3.jpg

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