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2008年03月30日

●白川静 2

中国には、昔より今に至るまで「天人合一」という思想がある。
いや、思想というよりも実践哲学と言っても良いものだ。
天と人の共同事業というか、あるいは
天に代わって人が行う、という思考体系が綿々として
中国人の血の中に流れている。

これは、あらゆる事々は、見えざる大いなる存在によってなされている
という畏れが、天という存在を形成していった。
己の為す事や、為した事々の一つ一つが天の影を引いている。
まさに、亀甲占いの骨に刻んだ文字は、天の声でもあった。
天声は人語にあるとの思想は、既にこの頃から始まっていた。

それ故、祭祀儀礼は欠くべからざる古代政治の中枢であった。
施政者は天の化身であり代理人である。
そのための祭祀は、託宣を通して皇帝の威信を図る事にも用いられた。
「筮は再びと行わず」と言われたように、
次第にそれも改竄されて、人心掌握の道具に使われ、
それが、民間信仰の宗教にも浸透していった。

字の始まりは、いわばこの神事の在り様を報告するための記録であった。
白川氏のこの洞察は、あの最古の辞典「説文解字」さえ、
向こうに回しての論陣であった。
本場中国の学者も、ここまで立ち入った推察は出来なかった。
それを、本土にも足を踏み入れずに、3000年間、
前人未到の領域に足を踏み入れたのだ。
それは、奇跡的な事件であることは
時を隔てずして、既に明らかである。

嘗て、黄帝の史官・蒼頡(そうきつ)が文字を発明した時、
天は三度、号泣の涙を降らした、という。
人の心から天心が失われるからであった。
今、何千年前の功罪を問うことは、甚だ難い。
しかし、天の憂い通り、人心が荒廃した所以を、
文字の氾濫によるとするのは、
あながち的外れではないような気がする。

極めて即物的な象意によるスタートから、
情意が後から付随して、字数が膨大に増えていった。
複雑に絡み合った文字と頭脳が、
次第に直感脳を覆い尽くしていったのだ。

コメント

ありがとうございました。白川静さんという方の存在さえしらずにおりました。遙か古の時をさかのぼって新しい解釈を・・・当時の学会からは相手にされなかったご苦労にもめげず、ひたむきに追い求めていく狂けんさ。感じの一つ一つに隠された深い意味合いを少し知ることができました。

ありがとうございました。白川静さんという方の存在さえしらずにおりました。遙か古の時をさかのぼって新しい解釈を・・・当時の学会からは相手にされなかったご苦労にもめげず、ひたむきに追い求めていく狂けんさ。感じの一つ一つに隠された深い意味合いを少し知ることができました。

いつも、エリクサーさんのブログで、新しい物の見方を教えて頂き感謝しています。

文字を発明したとき、天は3度、号涙の涙を降らしたという・・・確かに、なにか大切の物が希薄になったようにも感じます。

このシリーズ
心で受け取りました。
そして、いつも乱暴に書きなぐる私はもう反省・・・・
これからは一字一字を大切にします。
すべて、天の心なんですね。
本当に雷光を受けたようです。
素晴らしい勉強をしました。

言霊・数霊・音霊・書?(字?)霊
知っていなければならない大切な事ですね。
ありがとう!
宮下社長の書の美しさは、此処にあったのですね。
(一寸、一人で納得しています)

久しぶりに風邪をひいたおかげで、まほろばの社長ブログを開いてみたところ、白川静の話を松岡正剛さんがガイドしているので興味深く読ませていただきました。白川静さんが文化勲章をいただいたときに漢字学者も文化勲章をいただくのか、と思っていましたが、このブログを見て納得がいった次第です。ただ一つ気になるところがありました。数学者、首藤氏の部分に線を引くか太文字でお願いします。私は今、ひどい風邪のせいでダヴィンチの最期の晩餐に挑んでいる最中ですが、どうもあれは我々太陽系の最期の晩餐を語っているのではないか、というところに来ています。太陽系にある全ての大きな彗星は60個位ですが、その彗星の軌道をパソコンに入れて時間を遡るとちょうど地球から太陽までの距離の2.28倍の位置に全てが集まるわけです。従って2012年は世の中で様々言われていますが、なしですね。もし、2012年に太陽を中心として太陽系の全ての惑星が直列するなら別の話で信憑性が大となりますね。4月26日にまほろばでその話をしてもいいのでしょうか?

興味深いところですね。
是非お願いします。
店のお客様の中には、信じていらっしゃる方も多いので。
お待ちしております。

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