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2007年07月12日

●「オオムラサキ」の想い出

おおむらさき 記事.jpg

今朝、北海道新聞に国蝶「オオムラサキ」の記事が掲載された。
自宅向かいの庭師、竹内明さんのご縁で、
「オオムラサキ」を飼育することになったのは、この四月。

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(八剣山の麓に住まう佐々木瑾郎さん)

たまたま石の関係で、南区の佐々木さんを紹介された。
長年、「エゾエノキ」が自生する八剣山付近は、
原種「オオムラサキ」の道内でも少ない棲息地帯であった。
エノキの葉のみを食する「おおむらさき」。
そのエノキの樹を実生から育て、
そして「オオムラサキ」を孵化させて、増やされている。

おおむらさき 4 幼虫.jpg
(榎の枯葉の中で越冬する幼虫(4令目))

農薬や環境汚染で昆虫が激減している今日。
自然復興のバロメーターにもなる昆虫を増やせられないか。
その手がかりにもなろうと、今年からトライしてみた。
付近の小学校でも飼ってくれれば、児童の眼も変るに違いない。

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(まほろばの前庭で囲いを整備する竹内明さん)

「オオムラサキ」は昭和32年に、「国蝶」と
さらに「絶滅危惧種」の二重指定をされている。
全国各地に棲息するタテハ蝶の仲間で、
その妖しいまでのむらさきの色の変化に
ハッと息を呑むのは私ばかりではないだろう。

おおむらさき 2.jpg
(四月に青い幼虫に脱皮する(5令目))

私は、小学校2年生から、「昆虫少年」であった。
毎年毎年、恵庭からバスと今はなき定山渓鉄道を乗り継ぎ、
十五島公園から簾舞まで歩きながら、採集に没頭していた。
夏休みの終わりには、山のような標本箱を抱えて学校へ運んだのだった。

それが、中学の2年生まで続いた。
そこで何故途絶えたか、
母の死がそうさせた。
入院中の母が病に臥せっていたにも拘わらず、
その年の夏も、昆虫採集旅行に出かけたのだった。

それを、得意になって加療中の母にしゃべったが、
母は決して、嬉しそうではなかった。

「殺すのを、やめて欲しい・・・」らしきことを、
今思えば言われたのだろう。

それ以来、二度と捕虫網を握ることはなかった。
翌年の冬、亡くなった母の思い出と共に。

・・・・虫たちと引き換えに、母は逝った・・・・・

だから、自分の子供にも、昆虫採集は教えなかった。
それほど、母の命と昆虫のイノチが今なお、
重なって見えるのかもしれない。

おおむらさき 5.jpg
(羽化したばかりの成虫)

しかし、採集の思い出と言ったら、
あの山道を一人歩き続けて発見した
高く飛翔する「オオムラサキ」の雄姿だった。
息を呑む、その大きさと美しさ。

その、葉に止まった一瞬を、継ぎ足した長い竿の捕虫網で
捕まえた時の高鳴る感激が今なお甦ってくる。
それは、たった一回の経験だった。

八剣山の付近であり、
郷里では決して見ることのない幻の蝶だった。

それが、50年経って、
このような形で巡り会うとは。

今度は、殺する事ではなく、
活かす事で、
昆虫と向きあいたい。

コメント

オオムラサキの羽化に感動しました。小さな頃から私も蝶の羽の美しさに魅かれて本州にはいない石垣蝶を求めていたのです。その石垣蝶を沖縄石垣島を訪れた時、たまたま歩いていた私の目の前をあの石垣蝶が悠然と舞っていた風景に感動したことがありました。宮下さんの農園で羽化するオオムラサキは北海道の自然を彩る時が近いのでしょうか。たまたま去年、私の自宅の庭で撮影した蝶の写真も近々お送りしたいと思っています。この写真は蝶のおめでたい写真ですよ。乞うご期待!

石垣蝶ですか、懐かしいですね。
実際見たことはないのですが、子供の頃、「保育社」の図鑑で、飽かず眺めていました。
沖縄で見てみたいものです。
北海道は低温のせいで、蝶の種類が少ない上、最近は全然飛んでいません。
あれほど群がっていたモンシロ蝶さえ見かけません。
自然界は弱い個体が先に消えますから。
これも、人間の仕業ですね。
ただ、まほろばの畑だけは、昆虫だらけで、もう楽園ですね。
一度見にお越し下さい。

本当にチョウチョが少なくなりましたね。
花の蜜で生きる、妖精みたいな生き物ですね。
私はミツバチが大好きですが、ミツバチも減ってきているそう。
それにしてもまほろばさんは、チョウチョまで…


国蝶「オオムラサキ」ですか、すてきですね。
この夏は二人の息子に虫や蝶を見せたいと思っていました。
農園におじゃまさせていただいてもよろしいのでしょうか。
お仕事のお邪魔にならないように気をつけたいと思いますが
一度も伺ったことが無いので「いつか」と思っていました。

どうぞ、どうぞ。
いつでもお越し下さい。
昆虫観察には、
絶好の地でもあります。
身も心も少年時代ですね。

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