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2011年09月03日

●「頭は臆病だけど、手は臆病じゃない」

      
            小宮一慶(小宮コンサルタンツ社長)
        
            『致知』2011年10月号
             特集「人物を創る」より
       
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『修身教授録』では「下坐行」ということも言われていて、
本来は下位の人がやるべきことを指すのですが、
特にいまの時代は常日頃からそれを心掛けておかないと、
口先だけの人間になってしまいかねません。

いま世の中を見ていると、
皆から偉いと言われている人の多くが
「首から上があればできる仕事」しかしていないんですね。

私が日本福祉サービスに勤めていた時に、
四百人ほどの寝たきりの方を
お風呂に入れる仕事を手伝ったんですね。

その時に思い出したのが、鍵山さんに教えてもらった


「頭は臆病だけど、手は臆病じゃない」


という言葉でした。

頭で考えていると、どうしても
できない理由を一杯考えてしまう。
でも実際に手を動かしてみると、
意外と簡単にできることが多いんです。

だからうちの会社では、毎朝九時から
全員で必ず掃除をしているんです。
私がやるのはトイレ掃除。

「なんでそんなことするんですか、小宮さん。
 時間がもったいないじゃないですか」

と言う人もおられるんですが、いや、そうじゃないと。
やっぱり手を動かしていないと何も変わらないことを、
体を通して知るのが大事だと思うんです。


        * *


私は曹洞宗の最高顧問でいらした
藤本幸邦(こうほう)先生を
人生の師と仰いでいるんですが、
先生は「履き物を揃える」ということを
うるさくおっしゃいました。

先生は概念の遊びを凄く嫌われるんですよ。
永平寺には「脚下照顧」という額が掛かっているそうですが、
これって一つの概念じゃないですか。

一方、「履き物を揃える」というのは、
それを具体的な行動に落とし込んだものじゃないかと。
それを先生は子供たちにもやらせるわけです。

「履き物を揃えると心が揃う」という考え方ですが、
おそらくその延長線上に藤本先生は
脚下照顧を思っておられたのではないかと。
だから実践、行動が何よりも大事なんですね。

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