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2008年07月10日

●わたしの娘を100ウォンで売ります

この度のG8サミットで、初めて拉致問題に対して、
各国の解決協力への一文が宣言に盛り込まれた。
しかし、被害者家族は、「何故もっと強く押してくれなかったか!」
と、政府の弱腰を嘆いた。

ニュースでも、逼迫した世論の盛り上がりが欠けて、国民の関心が薄らぎ、
余りにも、彼の国情を知らな過ぎる、とコメントしていた。
そこに入った衝撃的な詩が、ある雑誌で紹介された。
その一文を掲載したい。

脱北詩人のチャン・ジンソン氏の詩集。
朝鮮労働党のお抱え「貴族作家」で、民衆の心をコントロールする詩として重用された。

しかし、「最も貧しい国に、最も富裕な王がいる」現実に目覚めた時、
脱北を決意した。

2004年、豆満江を渡るとき、彼を突き動かした思いはたったひとつ。
飢えに死んだ300万人の、飢えに至る過程を、
必ず世界に暴露するという思いだった。
北の市場で見た衝撃は、
「わたしの娘を100ウォンで売ります」という詩になった。

脱北詩人.jpg

わたしの娘100ウォンで売ります

女は憔悴していた
――わたしの娘100ウォンで売ります
書かれた紙を 首にかけ
おさな児を わきに
市場に たつ その女

女は 唖者であった
売られる 娘児と
売る 女を ながめては
人々の 投げかける 呪詛に
地べた みつめる その女

女は 涙も 枯れていた
母が 死病に かかっていると
わめき 泣き叫ぶ 娘児は
その母の裾 にぎりしめ
女は ただ くちびる
震わせるばかり

女は 感謝も 知らなかった
あんたの 娘ではなく
母性愛を 買うと
ひとりの軍人 100ウォン差し出すに
その金 もって どこへやら
駆け出した その女

女は母であった
娘売った 100ウォンで
小麦粉パン かかえ
慌て 駆け戻り
別離れ行く 娘児の
口へ 押し入れる

――赦しておくれ!
慟哭する その女

(娘を手元に置けば、待つのは餓死である。
親切な人に売れば、娘は生き残れる。
死病の母は、こうして娘を売った。
そして、親としての最後の食事を娘に与えた。
涙なしには読めない氏の詩集には、
最も根源的な意味での生き残ることが
「ご飯」という言葉に凝縮して謳われている。
「ご飯が残ったよ」はそのひとつだ)

どこから もらって きたのか
冷や飯が ひとにぎり
妻の前に 差し出しながら
夫は 嬉しそうに 言う
――ぼくは 食べてきたから

一日中を 荒地 たがやし
裏山からもどった 舅姑へ
妻は その冷や飯を
お腹いっぱいな そぶりで差し出し
――これだけしか 残ってませんの

お腹には 胎児
飢えは 生涯の 罪か
心に シワ また増えた 老夫婦
宝物でも 隠すようにして
――このご飯は 朝食にしよう

その日とうとう
食べるもののない家に
ご飯が残った

(国民の飢えと首領の非道。
国際赤十字の救済米は北朝鮮の国民への支援となるのか。
チャン氏は国際社会の無知なる善意に烈しく怒る。
「救済米と言うな」がそれである)

世界の 国々よ
この国に 米なるものを 送り
救済米と 言うなかれ
その 赤き 赤十字は
我らが 血で 血塗られたり
(中略)
その米で 兵士を 増大し
砲身を つくり
残れば その米で
閲兵式 武力示威
食べたる 力を 誇示する 先軍

これに なお 力つけさせる
援助だ 支援なのだ
独裁者なるを 救済するだけの
人道主義への 背信
赤十字社の 欺瞞

どうか 世界の 諸国家よ
送る 米の あるなら
いっそ 我らの 頭上から
無一物の 我らの 頭上から
ああ 砲撃して おくれ!
(後略)

チャン氏の悲憤慟哭の詩集は間もなく晩聲社から出版される。

コメント

飢えに死んだ300万人の、飢えに至る過程を、
必ず世界に暴露するという思いだった
 。。。  チャン・ジンソン  かちょええ
   
 「わたしの娘100ウォンで売ります」
 涙しながら読みました。
 彼の詩が人々の知るところとなることが
 平和に近づく 一歩ですね。

    宮下氏の 平和活動にも拍手♪

あまりにもひどい惨状に言葉を失いそうになりました。
思わず北朝鮮の人々が平和でありますように
と祈りました。
きっと神様はひどい現状を浮き立たせ、その惨状を世界の人に知らせて、良くなる方向を導き出して下さるに違いないと思いました。

ミクシにかってにいただいて日記にしてしまいました。
そしたらまた転載しますと
広がってしまいました。

ご許可も取らずに申し訳ありません。

mixiのまきひめさんから、拝読させていただきました。
母親の辛さが胸を打ち涙が止まらなくなりました。
そしてこのような体制の上で贅沢三昧をする金正日に天罰が下ることを祈ってやみません。
どうもありがとうございました。

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