2008年02月29日

●麻田 酪農大理事長

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昨日の道新朝刊に麻田信二酪農学園大学理事長の論評が掲載されていた。
実は、先週本田さんと会った次の日に酪農大を訪ね、
昨日、その記事をアップしようと思っていた矢先であった。
そこに、シンクロ(同時性)を感じ、
意識の底で、繋がっていることに、
改めて感動してしまった。

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酪農大の新卒、城越ゆかりちゃんはまほろばのホープである。
この一卒業生に過ぎない彼女が、
なお社外で環境問題などの社会運動に参加し、
理事長とも繋がっていたことに驚く。
また、環境学科の森川教授とも会わせて戴き、
今尚、師からかわいがられ、また後輩からも尊敬され慕われる
彼女の人徳に、嬉しくなってしまった。

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(酪農大学の案内書で城越ゆかりちゃんが紹介されている)

今回の、まほろばと酪農大を繋ぐ設定も、彼女のお膳立てだった。
何かしら手を繋ぐことで新しい展開があることを、彼女が感じたのだろう。
当日、農場長の専務と彼女の後見人の宮原正幸氏と四人で、理事長室を訪ねた。

実は3月の「農を変えたい!全国集会」の場に酪農大を提供した
麻田理事長は元副知事で、有機農業の応援団長でもある。
その副代表でもある本田さんとも昵懇の仲でもあった。
この不思議な縁の巡り合せ。

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(麻田理事長と、右は宮原正幸さん)

今、まほろば農園の小別沢を、「札幌の里山」、
「有機の里」にしたい事を申し上げると、
大賛成で、色々助言を戴き、惜しみなく協力をして下さるという。

さらに、そこを「醸造醗酵の里」にもしたい、
「介護福祉の村」にもしたい、と夢が広がる。
すでに奥の盤渓にはワイナリーもあり、家具工房や、山羊屋さんもいる。
ここに牧場が生まれれば、札幌の小学生の眼が輝く。

チッチも出来るだろう、生牛乳も飲めるだろう、
牛堆肥が身近に出来て、循環農業が可能になる。
街の憩いの丘になって、みな穫れ立ての野菜を買いに来るだろう。

まほろばの夢は、札幌の夢にもなる。
麻田理事長との邂逅も、きっと
天が結びつけた幸運の糸だったに違いない。

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2008年02月25日

●本田廣一さんとの再会

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(まほろば自然農園にて)

道東、別海の古多糠に生きる本田廣一さん。
1.000頭の牛、1.000頭の豚、120町歩の牧場。
桁外れの雄大な大地に、壮大な酪農の夢を、若き日から追い続けた彼。

実は、本田さんとの出会いは、まほろば創業以前、さらに10年前に遡るだろうか。
奈良のアオゲ村という山奥での講演を聞いたのが始まりだった。

同郷・同世代の彼が、全国を股に、
東奔西走して有機農業の実践を訴えかけている
その勇姿を誇らしく思ったものだった。
私の過去を知る彼とは、語らずして微笑する仲でもある。

それから35年、彼の歴史は、日本有機農業発展の歴史でもあった。
私が青年だった頃、一楽照雄氏が「有機農業」の名を世に送り出した時だった。
その長い生産者の内輪を熟知している本田さんにとって、
現今の有機JASは、今一つ不満のようである。
彼が、まほろばのミーティングで話をしてくださった。

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(興農ファームhttp://www.kohno-farm.jp/

有機という名で、安全が保障されているかのような錯覚を国民がしているが、
その実情は違う。

今の有機JASは行程管理認証で、作業プロセスをチェックしたもの。
残留農薬や重金属のチェックをした訳ではない。
だから、作物そのものの品質保証ではないので、有機即安全とは限らない。
(これは0-1テストでチェックする帰納的作物判定に似ている。
結果がどうかという事が、全てを物語る事)
3年有機を実践すれば認証の対象とされる。
ために不特定多数で、技術不足の新規参入者が多い。

一方、一昨年末、超党派で「有機農業推進法」が国会で可決された。
平成23年までに、全ての都道府県で基本方針の策定準備がスタートした。
まさに、有機農業が日本農業の基本となる日も近い。
これは法律理念であるから、有機JASとのダブルスタンダードの中で、
位置付けは上にある。

意外と思われるが、古くから有機を実践している農家に認証を得ていない人が多い。
2,30年前、既に自然・有機農法の実践家は、我関せずで居た。

しかも、古くからの人は技術が上で、哲学もあり、経験も深い。
これが、問題を複雑にして来た。
環境保全対策室の担当官は、JASを持っていない篤農家を回って視察し、
国が新旧、得不得に関わらず、認めざるを得ない処まで認識が深まったのだ。

JAS認証は、一般人には物の選択の指標にはなる。
が、もっと本質的に突っ込むと、本来有機でない物を、
有機で売ることの現実を、どう克服するか、ということを本田さんは問題としている。

本来の有機農業とは、有機的循環農法なり酪農を言うのであって、
外部から物を持ち込まないことが原則なはず、と力説する。

今日、近代農業における主導微生物は、富栄養下でこそ繁殖活動するものだが、
低栄養下における微生物の活動は、循環型農業にこそあるとする。

持続的農法とは、先祖菌などの低栄養微生物の農法である。
外部から窒素・燐酸などの栄養素を過剰投入することで微生物が死に、
あるいは休眠する。
それによって連作障害が起こり、土が疲弊し、荒れる。
それが低栄養下に棲む根圏微生物などの復活と共生により、連作が可能になるのだ。

実際、滋賀県には50年間、何にも入れない水だけで
7〜8俵もの米を収穫している篤農家がいる。
残滓は持ち出さず、また元に戻すだけだ。
まさに内部循環で自給自足している理想的な完結農法でもある。

いわゆる科学的分析による土壌診断や施肥設計は当たらない。
有機は慣行の延長上にあるのではない。

むしろ、そこには0-1テストなどによる一見非科学的手法による
生命同士の感応による土作りや物作りが重要になってくるはずだと言われる。

その発表が今回、来る3月21、22、23日、酪農大学で開催される
「農を変えたい!全国集会」の中で行われる。

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自然は混沌として、富栄養も低栄養も混在してバランスしているのであろう。
何れも存在意味があり、時には何れかが活発に顕われる時代性、
地域性というものがあるのだろう。

現在までの社会は富の構造が優先して来たが、
これからは貧の構造が台頭するのではなかろうか。
それは陰、あるいは「無」と言って良いかもしれない。

その先に、福岡翁の自然農法が聳え立っているはずだ。

最低限の容量で最大限の影響を及ぼす生命の時代とも言える
新しくも本来の世紀が到来しているような気がしている。

それは、まほろばが標榜している
『小国寡民』の実現に繋がるのであろう。

そんな夜明け前を感じさせる、本田さんとの再会。
これも時運のなせる業かもしれない。

2008年02月21日

●寒にごり

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先日、秋田・日の丸醸造の佐藤社長がお越しになった。
営業にご熱心で、年に4回は来道されているという。
このような蔵元と小売を繋ぐ絆の大切さを思う社長もまた稀である。
我々小売業としても、その姿勢を範としなければならない。

最近、秋田の蔵元仲間でアメリカに売り込みに行ったばかり、と聞く。
またこの度は、札幌の名酒会での利き酒パーティーに招かれたとか。
その席で、新得共働学舎のチーズ「酒蔵」が振舞われ、興味を示された。
実は、そのウォッシュする酒は、まほろばから行っていることを聞いて、
二度ビックリされていた。
縁の身近さ、不思議さである。

今、新しいアイデアで酒の復興と振興を志されている。
昔、東京で銀行の長をされていた営業力が、
古き酒蔵で生きておられる。

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今回、紹介された、まんさくの花・純米吟醸生原酒【寒にごり】。
これは、久方振りの感動だった!!
あの「むすび」のショック、「和魂(にぎみたま)」の精錬された喉越し。
そんな感銘が再び甦った。

この寒い時期に相応しい濁り酒で、
しかも爽やかで、スーッと体の奥に引いて余韻が何時までも残る。
ある種フルーティーで、古典的で現代的でもある万人が共感する軽み。
通には軽いが、我々下戸には、結構後に効いてくる濃さがある。

見れば、辛口とある。
吟の精などの酒造好適米55%、アルコール度18度、日本酒度+3〜4.
1,8L¥2.625、720ml¥1.365

「噴出し注意!」と書かれた微炭酸と酵母の掛合いの活性発泡酒。
一口飲んで、スカッと爽やか、
二口飲んで、グッと深酔い。

こんな不思議な印象を持つ酒も、そうざらにない。
この寒の時期だけに許された濁りの美しさでもある。

2008年02月13日

●「サラ」、読売新聞に

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今朝の読売新聞朝刊にまほろばチョコ「サラ」が掲載された。
玉生君、最後のチョコの仕込みとなった。
それが彼自身も満足した最高の出来!!
彼が去った後、どうしようかと思うのだが・・・

この調整には難儀を極めたものだった。
彼との共同作業の中で、生まれた「サラ」。
乳香にしろ、没薬にしろ、ナルドにしろ、
この香料自体、癖があり過ぎて、食には向かない。

それを絶妙に使って、独特な世界を演出した。
改めて一年ぶりに食べてみて、
何とも言えぬ深い味わいに感銘を受ける。
バレンタインに関わらず、しばらく在庫したい。

そして、驚くことがもう一つ。
この「サラ」を作ってから、
急に一般市場に塩チョコレートが出てきた事だ。
これが、シンクロであろうか。
スィーツで、塩を隠し味に使い出した。

まほろばの売り出す物、作り出す物、
何時も時代を先取りしている。
しかし、早すぎる傾向がある。
世の中が流行り出した頃には、
まほろばでは何時もブームが去っている。

25年前、紅花油の危険性を訴え、
オリーブ油を推奨していた。
ここ十年、世の中オリーブ油ばやりであった。
しかし、その時はαーリノレン酸のエゴマや亜麻仁油に
まほろばのお客様は洗脳(笑)されていた。
ピクノジェノールを、一般で初めて耳にする頃、
既に家の常備薬に収まっていた。

「サラ」も年を重ねて、
きっと世に知られるようになるのであろう。
そんな息の長い逸品に仕上げたい。
今から楽しみである。


サラ 2.jpg
http://mahoroba-jp.net/catalog/

2008年02月10日

●餃子騒動

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今回、再び再仕込み醤油「古醤(ふるびしほ)」の
製造依頼に小豆島のヤマヒサさんを訪れた。

時に、餃子問題で世の中、かまびすしい時でもあり、
今なお原因究明に日中間の遣り取りが、きな臭い。

異常なほどの中国製品に対する国民の拒否反応。
それを煽り立てるマスコミ。

国内食料自給率を高めるための警鐘乱打と捉えるには
絶好の機会でもあり、
安かろう悪かろうの消費傾向に釘を刺すには、
又とない気づきの時でもある。

しかし、である。
この日中の行き違いの感情をそのままにしておくのは、
後々、悔いを残すことにもなる。
それが、何故かは、この後の結論にある。

そもそも、そんなに中国製品は並べて劣悪なのだろうか。
実は、「古醤」の材料の半分は中国大豆・小麦である。
しかし、それはトリプル認証なる
世界レベルのオーガニック作物で、日本では、
この厳しいレベルに達したものは見当たらない。

国内の有機と言っても、
使って良い農薬があることはご存知だろう。
しかし、日本有機では、世界に通用しないのだ。
つまり、海外には出せない。

トリプルとは、
アメリカのOCIA、
ECのエコ・サート、
日本のJONAの三つ巴で認証を取得した
徹底的に栽培・流通管理が厳しい中を
掻い潜って来た至高の安全性を誇るものだ。
しかも、それが中国産なのだ。

中国といって十把一絡げには見て侮れない。
およそ、今まほろばで置いている中国製品は、
ポジィテブ・リスト農薬150を越えたレベルの高いもので、
もし今そのレベルで国内産の作物をチェックしたら、
ほとんどが外れるのではなかろうか。
さらに、中には800もの農薬検査をクリアしたツワモノの緑豆などがある。

中国は懐の深い大国であることを忘れてはならない。
善悪両端が、何れも抜きんでて出来うる歴史の国である。

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情報に左右され、本質を見失ってはいけない。
だからと言って、安全な外国産のみに靡くのでもない。
今の自給率では、双方のバランスが必要で、
高い見識の眼をもって、取捨選択する要がある。

世の中、表があれば、裏がある。
世界情勢のほとんどが皮相的な情報操作で
動かされている。
肝心なことは、知らされてない。

「民は寄らしむべし、知らしむベからず」
とは、古代中国の宰相たる者の心得であって、
これは、国を統治する者の常道でもあった。

今も、裏の世界で暗躍している者がいるのかもしれない。
昨年、ある知り合いの方が、
とあるブログを紹介して下さった。

それは、驚愕の内容で、
俄かには、信じ難いが、
その内容の具体的なること微に至り、細に亘り、
書き連ねてあった。
餃子騒動の内側も記されてある。

こういうことが実際行われているのかもしれない。
しかし、また、それに悩まされたら、
暗澹たる世界の将来しかない。
ただ、今を、自分を、生きるしかない。
それで充分な気がする。


2008年02月06日

●岩本英希 画伯

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新年会の後、輪島シェフの奥様のお父様、岩本英希画伯のお家兼ギャラリーを訪問。
店からすぐの別荘で、そこから見る恵庭岳は
何も遮る物がなく、絶景である。

岩本御夫妻とのお付き合いも長く、絵画を観る目も培われた。
歯科医としても世界的名医として知られ、
また、画の取り組みは比較的遅いものの、
その評価が半端な画人ではなかった。

1992年「国際グランプリ大賞」を受賞、
ルイ十四世のイーゼルに飾られる名誉を戴かれた。

「フランス芸術大賞」など、毎年欧米から受賞される
その数々には、当時驚かされるばかりだった。
ゴッホやピカソなどの名画を収蔵する「テッセンコレクション」に
永久保存される例が、スペイン・スイスなどなど欧州各国で続いた。

最早、押しも押されもせぬ国際的評価を得た
世界の巨匠となられた。

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国内より、海外での評価が高く、
一号(はがき大)が60万円で、ギャラリーには
2000万円の絵画がゴロゴロしていて、
とても庶民の手には届かないものになっている。

画の評価が高過ぎて、反って困っていらっしゃるという、
どうにも売れない芸術家の中では、うらやましい限りの
夢のような話でもある。

付き合う人々も、各国の首脳や著名人やアーティスト。
写真をみせて戴いても、その格の違いに驚く。

私も以前、画伯のリトグラフを購入させて頂いたことがあったが、
今では高嶺の花で、生唾を呑むばかりだ。

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今年、開催される洞爺湖サミット。
国の要請で、各国首脳人に贈られるリトグラフとその原画を見せて戴いた。

その画室にみな案内され、画家の部屋とはこういう風かと感慨ひとしお。
シャガールばりのまばゆい光彩の豊かな夢の中に
浮遊した構図に心身が溶け入るようだ。

シラク大統領とホワイトハウスに贈られた「富士」のリトグラフは、
実に素晴らしく、歴史に遺るものであろう。

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一挙に30人も押し寄せ、快く受け入れて下さったことに深謝。
さらに、岩本画伯の評価が日本中に広がらんことを。

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●新年会&送別会

今年も、無事に正月を迎えることが出来た。
毎年、無事が一番と互いに感謝して来た。
今回もリピエーニさんでの新年会。
美味しい料理を前に、みんなに悲しくも辛い話をしなければならない。

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昨年は、染谷さんの退社。
今年は、なんと玉生シェフの退社の話を切り出す。

奥様の御家族の都合で、実家のある鎌倉に帰る。
行く行くは、そうなる事は知っていたが、
実際、その現実になってみて、彼の存在の大きさを知る。
彼のファンも多く、ソフテリアは女性のお客様が多い。
全国でも彼の名を知る人も少なくない。
みんなもショックが隠せない。

根が優しく、我慢強く、努力家だ。
いつも穏やかな表情をして、イヤということを言わない。
湘南ボーイのハイセンスと田舎を求める素朴さが、マッチして
料理のセンスや味わいの品の良さが受けていた。
彼を失うのは、まほろばにとっても大損失である。

朝は、早い時は3時頃から来て、パンの仕込みをする。
帰りも遅く、働きづめに黙々と働く。

奥様の純子さんも、ピュアな魅力的な女性で仲睦まじい。
フルートを吹き、フラダンスを踊り、感性が実に豊かで、情感に溢れている。
日本舞踊も小さい時から修め、今は地唄舞を習いたいと。
そんなお二人だから、きっと鎌倉でも素敵で中味の濃い店を開かれるであろう。

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私は、いつも思うのだが、これで離れたとは、到底思えないことだ。

去年の染ちゃんでもそうだが、まほろばのフィールドを広げるために埼玉に帰る。
そこからまほろばが広がって行くようなイメージなのだ。

玉生君もそうだ。
鎌倉にまほろば支店が出来たような感覚だ。
きっとここで少し学んだことが生かされて、向こうでも大活躍してほしい。
彼らなら、きっと実現するだろう。

ますます、まほろばが広がって、
玉生君が、日本が誇る名シェフになることを期待したい。
そして、その店もまた名店になることを、
まほろばのみんなで応援したいと思っている。