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まほろば自然農園
 
     


 漬物大根の時期はそろそろ終わり、越冬用野菜の注文が入る季節になりました。

あとは畑に残った大量の貯蔵用野菜の収穫に入ります。
(大根、白菜、キャベツ等)


 今日は11/13日ですが、農園野菜はこれまでに2度雪におおわれ、5度凍結に会いました。  
それでも夜のうちに凍った野菜も朝になり気温が上がってくると、昼頃には融けてまた成長を始めます。
本当に植物の生命力には驚かされます。

「偉いねえ!強いねえ!」と話しかけながら収穫しています。
しかし、あと一週間もすれば凍結したまま戻らない人(?)になってしまうので、この一週間ほどが冬将軍とにらめっこしながら、1年で一番忙しい厳しい穫り入れの季節です。


 一日でも穫り入れが遅れると根雪になって、2度と収穫できないままになることもあります。
これまでに何度それをやって来たことか、だからと言って安全を見込んで早く収穫してしまい、なかなか寒さが来ないと鮮度が落ちてイタミが入ります。

 その年によって寒さが来るのは違うので、その見極めがむつかしいのです。 毎日、天気予報の最高気温、最低気温を見ながら、その日その日の農作業を組み立てて行きます。

 毎年、店の感謝デー(11/14-16日)頃が、農園では天下分け目の関が原に当たってしまうので、店売り野菜も大量に出荷しなければいけないし、その忙しさと寒さは格別です。

 私とチーフの福田君はこれから戦場に向かう戦士の気分ですが、新入社員と研修生は、心構えを持ってもらうための私と福田君のおどしも実感がないようで、冗談半分で受け止めているようです。

 そうそう、まほろばのお客様にも、最近はお買物をしていると
「もう、農園は終わりですか」と声を掛けられます。

「いえいえ、とんでもない、これからが正念場です」




 

  店長(大橋)によると、漬物白菜の巻きが甘いと言われるそうです。 完熟させて採ろうと思えば採れるのですが、完熟の2日前位で収穫しています。
これは白菜に限らず、レタスやキャベツ等、結球野菜はすべてそうなのですが、その頃が一番おいしいし、0―1テストすると、一番パワーがあり、完熟するにつれて下がって来ます。
「娘18、番茶も出花」・・・これは共通の真理ではないかと思います。

キャベツも白菜も、一袋10kgで大体、袋詰めしているので、販売する方はもう2日置いて収穫した方が重くなり、利益は上がるのですが、そこは0―1テストの店、そして一番おいしくて生命力の盛んな時を食べていただきたいと言う気持を込めています。




 ところが漬物の作り方の本でも、テレビでも、皆、ガッチリとよくしまって、持ってみて重いものが理想としてススメられています。
それが一般の常識です。

 でも、完熟してしまえば次は老化に向かうだけです。
まだ生き生きと成長を続けている完熟の一歩手前、それが一番パワフルなのです。 ご理解頂ければ嬉しいです。




 ついでに、きゅうりは曲がっているのが、自然とよく言われますが、これもそんなことはありません。

 家庭菜園をされている方は、お分かりと思いますが、曲がりは水分や栄養分が足りない時や木が弱った時に多く出て来ます。
言うなれば栄養失調のきゅうりなのです。
有機農法や自然農法をやっている人たちが曲がりきゅうりも出荷するようになったのが始まりのようです。

 きっと、まっすぐなきゅうりも曲がったきゅうりも自然が一生懸命作ってくれた尊い生命なのですから、曲がったきゅうりも捨てないで、すべて食べて下さいね、と言う意味なのだと思います。
曲がったきゅうりが自然なのではなくて、曲がったきゅうりもあるのが自然なのだと思います。
どんなに上手に作っても曲がりきゅうりは出るものです。
人間社会もいろんな人がいます。
それこそが、生命の多様性であり、多様であるからこそ、どんな環境にも耐えぬいて生命を継承発展させてくることができたのです。

 自家採取も形がそろって大きくて、味がよくて・・・と、よいものばかり選抜して種とりしていると、何代か続けていると、生命力が弱くなり、りっぱなものが出来なくなって行くそうです。
遺伝子が近い近親結婚がよくないと言うことなのですね。

その反対が雑種強勢です。
遺伝子の離れたもの同士を交配させて丈夫な強い品種を作ることです。



 まほろば農園の小松菜は9年位自家採種していますが、ずい分いろんなものと交配しています。
小松菜同士だけでなく、アブラナ科の近親種はすべて交配するので、これまでチンゲン菜、白菜、アブラナ、くきたち、等と交配して来ました。ですから本当は小松菜ではなく、小松菜雑種です。すごくパワフルな遺伝子をもっていると思います。
これからも、純粋培養するのではなく、適度に交配して雑種強勢しつづけて行きたいと思います。  

 同じ一袋の中に、色んな顔をした小松菜や小松菜もどきが入っているのですが、お客様から今まで一度も「これは小松菜ではないのでは」と言われたことはありません---------どうしてなのでしょう?
でもこんな、まがいもの(?)が売れるのも自然食品店ならではですし、自家農園を持っているからこそできることだと感謝しています。

 小松菜に限らず、まほろばでは、いろんな種が交雑して仲良く個性を主張して自然で自由な世界を創造しています。


 でも白菜の交雑は困ります。
小松菜やアブラナと交雑すると、結球しない(巻かない)白菜や、半結球白菜ができてしまうからです。
その上、F1種を自家採取して更新したものなので、タケノコ型の細長い白菜ができたり。
いろんな遺伝子が複雑に交じり合っています。

  苗の時に大体分かるので、選別して植えるのですが、それでも一割位は巻かないものが出て来ます。
白菜はわざと交配したのではなく、自然に交配してしまったのです。
でも、まぁ、結果、丈夫な白菜が出きればいいかな・・・と。


 自然食品関係者の間では在来種(昔から品種改良されることなく、ずっと作り続けられて来た品種)がよくて、F1はよくないというような考え方が一般的なようです。

 でも、そうとも言えないのではないかな、と思うのです。

 
  在来種と言うのは偶然の交配や人間に都合のよい、突然変異種を選抜して育てると言う偶然的要素が大きく、長い歴史の中でできあがって来たものですが、F1種はそのメカニズムを科学的に解明し、種苗メーカーが10年位のスパンで自然交配を繰り返し、作り上げているものです。
雄性不稔株(※)を作り出す手法に多少、不自然さはありますが、あくまでもオシベとメシベによる自然交配が基本になっています。

 ところが遺伝子組換えと言うのは、基本的な手法が根本から違います。自然の摂理にのっとって、オシベとメシベの交配によって新しい遺伝子が創造されるのではありません。
遺伝子組み換えは、遺伝子そのものにダイレクトに働きかけ、人工的に遺伝子を改ざん?(改良?)するからです。

  そのかわり10年と言わず、両親がなくても新しい品種ができてしまいます。こんな不自然なことはありません。
イエス・キリストは、父親がいなくて生まれてきたそうですが(これとて疑う人は多いのに)、遺伝子組み換えはマリア様もいなくて、生まれてくることができるのですから。

 



※雄性不稔株=メシベは健全だけれど、オシベが機能しない株のことで、自然界にはまれにですが突然変異によって作られた天然型の雄性不稔株もあり、これを見つければ、いくらでも新しい品種を作ることができます。作りたい性質を持った別の品種のオシベを受粉させればよいからです。そうでない場合はピンセットで一本一本オシベを抜き取ったり、薬品でオシベだけ不稔にするようです。また、きゅうりやかぼちゃのように雄花と雌花が別々のものは簡単に、雄花だけ除去し、交配したい別の雄花を持ってくることもできます。だから、必ずしもF1が悪いとはいえないのです。薬品を使ってオシベを不稔にするのはよくありませんが、基本的にはオシベもメシベもあり、両親のあるところから子供が生まれてくるわけですし、雑種強勢の原理にものっとっており、0―1テストすると近親交配を長く続けている在来固定種よりはるかに良い場合もあるのです。


 それでは、どうしてまほろば農園では自家採種するのかというと、F1種子は、農薬や化学肥料や殺菌剤や着色料が使われているからです。

  最初はF1種子を使っても、それを自家採種して無農薬・無化学肥料で自然に育てた丈夫な種子を作りたいからです。
しかし、必ずしも100%固定種に
するのではなく、多少は交配させながら、純粋にならないように、雑種強勢しているわけです。

 

  また、自家採種の固定種を作るのも、日本農業の将来にとって大切なことです。 F1と在来固定種を交配させたりもしています。

それらは、すべて目的意識的にというよりも、できるだけ離して自家採種しているのですが、特別に隔離しているわけではないので、自然のいたずらで適度に混ざって強勢効果を発揮してくれています。


 でも、一般のスーパーや八百屋さんではそういうわけには行きません。多少不ぞろいでも、自然を愛し買ってくださるお客様がいるからこそ、好きなことができるのだと感謝しています。


 

 とはいうものの、自家採種している80%くらいは、ルーツは在来固定種です。また、(財)自然農法国際研究開発センターでは、自然農法でF1種を作っているので、多く利用させてもらい、それをさらに自家採種して固定種(ゆるやかな)に仕上げています。
(たとえば、きゅうり、南瓜、ナス、スイカなど)

インゲン、レタス、サニーレタス、サラダ菜、甘とう、えごま等は開発センターの固定種を自家採種して更新しています。

 また、海外のオーガニック認証、もしくはバイオダイナミック認証を受けた農場で、農薬や化学肥料を使わずに栽培され、採取後の化学処理も一切行われていない種子を扱っている「たねの森」さん(まほろばでも販売)の種子も使っています。

 サンマルツァーノ・トマト(調理用)や去年作ったスタピス・トマトやグリーンゼブラ・トマト、オクラのスターオブ・デイビット、ローザビアンカなす、ズッキーニ、ブロッコリー“ドシコ”、つるありいんげんミックス(今年植え忘れました―自家採種した種はあるので、来年植えます)、水菜、ターツァイ、紫高菜、ブライトライトチャード、クァトロセゾンレタス、ロメインレタス、レッドサラダボールレタス、エンダイブ、サラダミックス、パープルトップホワイトグローブ、チェリーベルラディシュ、フレンチブレックファーストラディシュ、バジル、レモンバーム、オレガノ、タイム、セージ、チャイブ、イタリアンパセリ、ディル、チャービル、パセリ、等々ですが、作ってもあまり売れないものは今年は作らなかったものもあります。


 
 
  あとは野口種苗さんで、固定種専門店ですが、自然栽培の種ではありません。上記の2箇所で扱ってないものは、野口さんで買ってそれを自家採種しています。 
ピーマン(さきがけ)、ししとう、激辛なんばん、伏見甘長なんばん、サラダピーマン、ラディシュ、かぶ、レタス、春菊、アロイトマト(おいしくないのでやめました)、花豆、大平ささげ、モロッコ、きぬさや、グリーンピース、スナックえんどう、枝豆(たんくろう)、黒豆、だだ茶豆、白うり、へちま、ゴーヤ、島オクラ、五角オクラ、人参、チマサンチェ、セロリ、大葉、ふだん草、高菜、つるむらさき、モロヘイヤ、京都九条ねぎ等です。

 あと、じゃがいもは自家採種が長いので(15年以上)、最初はどこから仕入れたのか分からなくなったものもあります。

 あと、シュタイナーのバイオダイナミック農法の種とか、MOAの自然農法の種子交換会で交換した種とか、まほろばより2〜3年早く有機農業を始めた新得共働学舎からもらった種とか、九州熊本の椎葉村というところで平家の落人が800年も作り続けた焼畑農法の種とか、オーサワジャパンさんの黒豆とか、ずい分いろんな種が交じり合っています。

 
 
 あと、ミニトマトは、まほろば生産者の作田さんのものを長年(?)自家採種しています。トマトとピーマン(京ひかり)は、タキイ種苗さんの桃太郎ファイト(F1)を自家採種して4年目位です。ミニトマト(子桃)は、今年初めて作ってみました。
 なすの真仙中長は、渡辺採取場(一般種苗メーカー)のものを自家採種して、桃太郎ファイトより長いと思いますが、何年目か忘れました。  

 ほうれん草は、在来種を使ってもなかなか上手にできないので、一般種苗さん7・8軒のカタログの中から0―1テストで選んだオハイオというのが大変パワーがあり、味もよく、病気にも強いと出たので、F1ですが今年から使ってみました。
ほうれん草は年に4〜5作作れるので、自家採種し、今出荷しているものは自家採種したものです。F1ですが、自家採種したものもバラつきがなく、今までになく上手に作れたと思います。

 私が農業委員会の取材で珍しくソフテリアにいると、知り合いのお客様が、「まほろばのほうれん草を食べると、他のは食べられない。
本当においしいねぇ!」と言ってくださり、嬉しくて大感激です。
早速翌朝のミーティングで苦労してくれている農園スタッフに報告し、喜びを分かち合いました。

 枝豆も、0―1テストすると、早生種で「味太郎」というF1種が大変良かったので、今年初めて作ってみました。
結果は0―1テスト通りで、甘くておいしくて作りやすくて、また来年も作りたくて自家採種しました。  

 ニンニクやごぼうのことはバックナンバーで書いたので省きます。 とうもろこしのカクテルは、タキイ種苗さんのカクテルを自家採種していますが、今年から更に品種改良されたカクテル84EXというのが発売されたので、来年はそれも両方作ってみたいかなと思っています。

 とうもろこしは遺伝子組み換えでない限り、不自然な交配はしないので(オシベの穂が出始めたら刈り取って雄性不稔にするだけです)F1といっても何も心配ありません。
家庭菜園でも簡単にF1種を作れるくらいです。
今年初めて作ったのは、みわくのコーン(F1)で、生食もできる甘くて果皮の柔らかいものでした。あと、黒もちとうきびは、在来固定種の自家採種です。

 かぶも在来固定種は何年作っても上手にできないので、秋にはF1種を作ってみました。
まほろば農園始まって以来の肌のきれいなおいしいかぶができました。在来種は近親相姦を繰り返して弱くなっているのかもしれません。
 ブロッコリーも、カリフラワーも、去年からF1種に代えて上手にできるようになりました。
在来種は弱いので、アゲハチョウの幼虫がゾーっとするほどついたりしていたのですが、0-1テストで選んだF1種は何もしなくてもほとんど虫がつきません。
秋大根は、何年経っても自家採種できないので、いまだにF1種を使っています。(0-1テストで選んで)。今年は冬の間に凍って腐らないように、土をしっかりかけておこうと思っています。

 赤カブは強いので、冬の寒さに耐えて、初めて自家採種できたのですが、F1だったので、全部赤かぶにならず、隠れていた劣性の遺伝子が働いて、紫色やピンク色もできてしまいました。
その上、堆肥置き場にした後に植えたので、肥料が効きすぎて、とんでもない形のものもできました。来年は種用に赤色の株だけ残しました。毎年これを繰り返し、段々赤だけが残るようにしていく予定です。(100%ではなく)

 以上、本店のレジ担当のゆかりちゃん(城越)、お客様からどんな種を使っているのですかと、良く質問を受けるらしく、教えて欲しいというので書いてみました。
それでは、今年も出荷できるのは残りわずかとなりましたが、引き続き農園野菜をご愛用下さいませ。


 大根、キャベツ、白菜、小松菜、チンゲン菜、水菜、こかぶ、ニンニク、ほうれん草、春菊、パセリ、ターツァイ、エンダイブ、セリフォン、ブロッコリー、聖護院大根、激辛なんばん、激辛なんばん(赤)、ラディシュ、サニーレタスです。


      2008年11月号
   

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