まほろばblog

「売り手よし、買い手よし、世間よし、ふるさとよし」

8月 8th, 2013 at 9:43
     山本徳次(たねや名誉会長)

                『致知』2013年9月号
                 特集「心の持ち方」より

3156212[1]

田中 この後、近江八幡の日牟禮(ひむれ)八幡宮にある
  「日牟禮ヴィレッジ」のお店に案内していただけるということで、
   楽しみにしておりますが、オープン以来、大変な人気のようですね。

山本 おかげさまで十年前にオープンして以来、
   一日三千人から五千人の方々が八幡宮にやってきて、
   お店にも立ち寄っていかれます。

   日牟禮というのは近江八幡の古名で、
   古くは日牟禮の里と言いました。
   その近江八幡のシンボルである日牟禮八幡宮は、
   いわば商人道の原点とも言うべきお社です。

   彼らは他国へ行商に出る前と、帰った後に、
   必ずここでお参りをしていました。
   そして富を得ると、惜しみなく
   故郷の村の神社仏閣に寄進をしたといいます。

   よく「売り手よし、買い手よし、世間よし」で
   三方よしと言われますが、
   私は「ふるさとよし」の四方円満こそ、
   近江商人の行き方ではなかったかと感じるんです。

田中 なるほど、ふるさとよしですか。
   それは初めて伺いました。
   しかしよく八幡宮の境内にお店をつくろうと
   お考えになりましたね。

山本 これは至極単純な理由で、店を出す時には、
   神社仏閣やお城の近くなど、
   そう簡単に変わらないものの傍と決めています。
   百貨店なら主要店にといったふうに。

   そうすればなくなったり、移転する可能性が低いでしょう。
   揺るがないものの傍で、その地域地域に合った商いをするのも、
   近江商人の行き方です。

   また、お宮さんというのは、
   きょうは景気がよかったとか悪かったとかいう浮き沈みがない。
   いつも変わらない心、不変の心こそが大切だという考えで、
   その思い入れをより強くしたい、と。

   こんなに近くで商売をさせてもらっておきながら、
   あそこの店はええ加減で、と言われるようになったらあかんわね。
   やっぱり正真正銘の、裏表のない店でないと。

※事業永続・繁栄のヒントが満載の対談
「商いの道は人の道」。

コメント入力欄

You must be logged in to post a comment.