まほろばblog

「たった一つの命だから」

4月 30th, 2013 at 15:00
 今村 和男(日本人間学会代表理事)  

              『致知』2013年5月号
               連載「生涯現役」より

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一九八五年に日本人間学会を創設された)
高島博先生は、単に議論だけをやっていてもダメで、
人間が生きる上で役に立つものでなければ人間学ではない。
つまり「実学」でなければいけないと常々強調されていました。

実学ということについて、いま日本では
自殺者が非常に多いですね。
なぜ自分の命をもっと大切にできないのだろうか。

そういうことにも当学会は貢献をしなければと考えて、
命を大切にするための運動も行っているんです。

だいぶ前になりますが、十六歳で
この世を去ったお嬢さんがいて、
その方はテニスをやっていました。

ところが骨肉腫になって右腕を切断する羽目になったのです。
そして最後は肺がんで亡くなるんですが、
その時に自分の人生というものを考えたのだと思います。

残った左の手で年賀状を書かれたんですが、
自分の遺言にするつもりだったのでしょう。

そこに「たった一つの命だから」という言葉を書いて
方々に送られました。

これが非常に大きな反響を呼びました。

このお嬢さん、何を考えてそのような言葉を書いたのだろう、
後にどんな言葉を繋げるつもりだったんだろうと、
多くの方がその続きを考え始めたわけです。

たくさんの方からいろんな答えが返ってきます。
たった一つの命だから、もっと希望を持って生きていこう、
おばあちゃんに育ててもらったたった一つの命だから、
おばあちゃんへの感謝をしなければ。

そういった手紙がたくさん届いて、
いま全国で朗読会を開いているんです。
この会は毎回凄い反応なのです。

現在は「たった一つの命だから」という社団法人もできて、
私もその代表顧問をさせていただいておりますが、
ヨーロッパやハワイなどにも運動が広まっているんです。

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