まほろばblog

「二言(にげん)挨拶」

12月 15th, 2011 at 10:26

       
       
   太田 誠 

   (駒澤大学野球部元監督)
        
   『致知』2006年3月号
   「致知随想」より
      

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私が駒澤大学野球部監督に就任して
間もない頃のことである。

大勢いる部員の中に、こいつはどこか
人と違う挨拶の仕方をするな、という選手がいた。

後に読売ジャイアンツに入団し、
「絶好調男」の愛称で人気者になった中畑清である。

当時の彼は、率直に言って田舎から
そのまま出てきたような垢抜けない顔をしていたが、
声だけは人一倍でかく、
何よりも人懐っこい性格をしていた。

まるで見知らぬ人と会っても平気で話をするし、
お年寄りにも実に自然に声をかける。

言葉というものには、
これくらい「心」が表れていなければ駄目だと感じたのは、
おそらく中畑と出会ってからのことになるだろう。

         * *

さて、彼のしていた挨拶とは次のようなものだった。
例えば誰かに「こんにちは」と声をかける。

普通ならこれでお終いだが、
中畑は必ずその後に

「きょうはいい天気ですね」

とか

「おばあちゃん、いつも元気ですね」

といった“もう一言”の挨拶を付け加えるのだ。
私はこれを

「二言(にげん)挨拶」

と名付け、普段の挨拶をただの挨拶に
終わらせないよう心がけてきた

この「二言」は、必ずしも言葉である必要はない。
すれ違った相手のために立ち止まっても二言。
手振りや微笑であってもいい

上級生のほうから
「おはよう。きょうも元気にいこうぜ」
なんて声をかければなおのことよし。

そこに人間同士の心と心の通い合いが生まれてくるのだ

2 Responses to “「二言(にげん)挨拶」”

  1. muso 橋本 Says:

    まいどです。
    二言挨拶、さっそく見習いたいと思います。

    私も体育会系のはしくれとしては昔からスポーツ選手が書いた本はスッと心に落ちるものがあります。

    寒さ厳しき折、社長、皆さまご自愛下さい。

  2. mahoroba Says:

    ありがとうございます。
    今年も、橋本さんはじめ、みなさまにはお世話になりました。
    来年も良き年となりますように。
    みなさまによろしくお伝え下さい。

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