まほろばblog

被災者の自殺…孤立防ぐ対策を

12月 3rd, 2011 at 8:03

住職、作家・玄侑宗久さんインタビュー全文(上)

 東京電力福島第一原発の事故はいつ収束し、いつふるさとに戻れるのか。先の見えないストレスを抱える福島の被災者の心境を、福聚(ふくじゅう)寺(福島県三春町)住職で芥川賞作家の玄侑宗久さんに聞きました。(佐藤光展)

 ――東日本大震災を境に、福島の人たちはどう変わりましたか。

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 「深刻な心の分裂が起こっています。例えば、飯舘村は津波や地震でやられたわけじゃない。高い放射線量のために、住民は避難したのです。だから今も『除染後、必ず村に帰る』という思いが強い」

 「しかし、心の中では『戻れないかもしれない』とも感じている。そのため誰かが、『戻れるはずはない』と言うと過剰に反発します。心に封じ込めた不安を口にする人が許せないんですね。だからこそ国は、土壌が汚染されたすべての町の徹底的な除染と共に、戻れなかった時のための代替地を早急に確保しなければいけない。分裂した心には、両方が同時に必要なのです」

 ――震災の影響で、檀家(だんか)からも自殺者が出たと聞きました。どのような原因ですか。

 「ある男性は、福島県内のタバコの作付け中止が発表された翌日に、命を絶ちました。うつ病を患い、長く働けなかったのですが、親戚のタバコの作付けだけは手伝っていた。それが奪われてしまったのです。自分の家のお墓が地震で壊滅的に壊れたことにショックを受け、自殺した若い女性もいます」

 ――周囲から見れば、それほど深刻に思えないことでも、自殺の引き金になるのでしょうか。

 「自殺は竜巻のようなものだと思います。竜巻を人工的に起こす装置を見たことがあるのですが、四方向から風を送って発生させていました。自殺も最低、四つくらいの原因が絡んで起こるのではないでしょうか。亡くなった二人は、持病や震災の影響などで、既に三つの深刻な原因を抱えていたのだと思います。追い込まれている被災者はほかにも多く、仮設住宅での生活が四つ目の原因とならないように、孤立を防ぐ対策など十分な支援が必要です」

2011年12月1日 読売新聞)

玄侑宗久(げんゆう・そうきゅう)
 1956年、福島県生まれ。慶応大学中国文学科卒。様々な職業を経て京都天龍寺専門道場に入門。現在は福島県三春町の福聚寺住職。2001年、「中陰の花」で芥川賞を受賞。東日本大震災復興構想会議のメンバー。

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