まほろばblog

「コックス・オレンジ・ピピン」?!

12月 2nd, 2013 at 11:36

今朝、超珍しいリンゴが入荷した。

その名も、「コックス・オレンジ・ピピン」

イギリス人が、世界一美味しいとしているリンゴだ。

ジュースにするとネクターのような濃厚な味わい。

フランスノルマンデイー地方では、「リンゴのロマネコンティ」とまで言い切る。

そんなピピンちゃん、わずか3ケースのみです。

一度話のネタにどうぞ。

最後に、英国在住の方の感想文を載せます。

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【リンゴ品種】

コックス・オレンジ・ピピン(Cow’s Orange Pippin)

[来 歴]

 イギリス原産。1825年頃育成され、C. Turner氏によって1850年頃に紹介された。

イギリスの最主要品種であり、アメリカ、カナダ、ニュージーランド等で栽培されている。

日本には、1875年フランスから導入された。

[果実特性]

 成熟期は10月上旬の中生種である。

果実の大きさは150~250g程度と中玉である。糖度は13~14%、甘酸適和、芳香がある。

果皮色は黄色に褐赤~赤色の着色、サビが多い。貯蔵性に劣る。

[生育特性]

 樹勢は中程度である。黒星病やうどんこ病に弱い。

 

わたしの住むケント州は、りんごの産地で、どの町でも郊外に出るとたいていりんご畑がある。

高さを二、三メートルに押さえたこじんまりとした果樹に、たわわに実がなっている。

そして樹の根元には、風で落ちた実がごろごろ。

わたしが好きなのは、なんといってもコックス・オレンジ・ピピンだ。

イギリス人が、「世界一おいしいりんご」と、自慢するだけのことはある。

コックスは、デリシャスやスターキングのように美しくもなく、

貧相だけれど、本物のりんごの味がする。

交配に交配を重ねて大きくした日本のりんごが忘れてしまった、

あるいは放棄してしまった、本当のりんごの味。

見てくれじゃない、味なんだ。

日本の国光に似た小さなコックスには、当たりはずれがない。

スターキングなど、ひどくまずいときがあるが、コックスにはそれがない。

いつでも必ず、あのりんごの原点ともいえる酸味と、甘味の織りなす優しいメロディを奏でてくれる。

コックスを耳元で振って、カラカラと中で種の鳴る音がしたら、食べごろだ。

この世界一おいしいりんごを、毎年秋になると農場に買いに行く。

5.5キロ入り1箱が千円弱。八百屋で買うよりずっと安い。

納屋に木箱をならべただけのショップには、さまざまなりんごが、にぎやかに顔をそろえている。

スターキングやゴールデン・デリシャスのとなりには、

黄と赤の色が可愛らしいキャティ、ウースター、そしてメインのコックス。

いづれも、日本のりんごとくらべると、小ぶりである。

でも、それでいいじゃない、おいしければ。

なぜ大きくする必要があるのだろう。

ずらりとならんだ木箱の端っこで、緑色の不恰好なりんごがのぞいていた。

まあその形ときたら、ごつごつと、まるで男の人の握りこぶしみたい。

いかにも硬そうでまずそうな、ブラムリーと呼ぶこのりんごが、日本にはない、

摩訶不思議なりんごだとわかったのは、わたしがイギリスに来て、

ずいぶんたってからのことだった。

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Teeka(フリート妙子)さん。

2 Responses to “「コックス・オレンジ・ピピン」?!”

  1. 長澤 孝子 Says:

    参考になりました。
    もう、4年前に お書きになったのですね。

    夫が、緑色の不規則に丸い りんごを買って来たので、
    もしや、うわさに聞く、ピピン(林望氏のエッセイで知りました)系ではと、
    検索して こちらに参りました。

    「とき」と言う名の この緑色のりんごは、
    歯応えがあって、つがる系のようです。
    10月初めの収穫ですから、早生ですよね。

  2. mahoroba Says:

    コメントありがとうございます。書いた本人もすっかり忘れていました。かのリンボウ博士が宣わっているんですね。私、今仁木町に移住して百姓をしています。いいことを聞きました。このピピンちゃんを植えてみたいです。でも苗木あるのかな。今年、グラニースミスを植えました。これも原種です。ピピン、いいヒントをありがとうございました。

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