まほろばblog

「安岡正篤師とドラッカー氏の共通点(学びの手法編)」

10月 25th, 2013 at 11:48

佐藤 等(ナレッジアドバイザー、公認会計士、税理士)

『致知』2013年10月号

特集「一言よく人を生かす」より

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両者の著作は膨大ですが、
その教えの根本は活学であり、実践である点で一致しています。

さらに二つの教えは、学びの手法においても共通しています。

「一度古人に師友を求めるならば、

それこそ真に蘇生の思いがするであろう」

(安岡正篤『いかに生くべきか』)

「理論化に入る前に、

現実の企業の活動と行動を観察したい」

(ドラッカー『現代の経営(上)』)

ドラッカー教授の本には「IBM物語」「フォード物語」
といった経済人や企業の逸話が随所に盛り込まれています。

彼の著作には机上で生み出されたものは一つもなく、
すべて自らの目で見たものに基づいて記されています。

現実を観察し、一つの理想を提示し、実現を促しました。

これは安岡先生がお示しになる造化(ぞうか)の位どり、
つまり理想‐実現‐現実、天‐人‐地の教えに適っています。

それは歴史や人物に学ぶことの大切を説き続けた
安岡先生と共通するスタンスといえるでしょう。

「自分を知り、自分をつくすことほど、むずかしいことはない。
 
自分がどういう素質、能力を天賦されているか、
  それを称して『命』という。

  これを知るのを『知命』という。

 
知ってこれを完全に発揮してゆくのを『立命』という」

(『安岡正篤一日一言』)

「自らの成長のために最も優先すべきは卓越性の追求である。
 
そこから充実と自信が生まれる。

  能力は、仕事の質を変えるだけでなく
  人間そのものを変えるがゆえに重大な意味をもつ。

 
能力なくしては、優れた仕事はありえず、
  自信もありえず、人としての成長もありえない」

(ドラッカー『非営利組織の経営』)

安岡先生の説く「知命」「立命」は、
『大学』の「明徳を明らかにする」という言葉にも置き換えられ、
それはドラッカー教授の

「自分の持っているものを発現させる」

「卓越性の追求によって社会の役に立つ」

という言葉によって、
より現代人にも分かりやすい教えに転換されています。

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