まほろばblog

「故きを温ねて新しきを知れば、以て師と為るべし」

7月 30th, 2013 at 12:47
  安岡 定子(安岡活学塾 銀座・寺子屋こども論語塾専任講師)

          『致知』2013年8月号
           連載「子供に語り継ぎたい『論語』の言葉」より

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今回の言葉は、「温故知新」という四字熟語でもお馴染みで、
『論語』の数ある名言の中でも
最もポピュラーな部類に入ると思います。

          (略)

「温故知新」という四字熟語は有名ですが、
その四文字にばかり光が当たるため、この後に続く
「以て師と為るべし」という言葉の重みが見過ごされがちです。

孔子はいつも弟子たちに、ただ学ぶだけでは不十分で、
身につけた知識を現実の場で生かさなければならないことを
説きました。

温故知新という教えに従い、過去に学び、
将来の見通しが立てば、
いま自分が何をなすべきかというアイデアが生まれます。

孔子は、そのよいアイデアをもとに
実際にアクションを起こせる人が師、
つまりよい先生であり、そういう素晴らしい人物を見つけたら、
側にいてよい影響をたくさん受けなさいと説いているのです。

ですからここで言う「師」とは、
ただ理屈を述べるだけの学者や先生ではなく、
古典を通じて優れた哲学を持ち、
それを実践している人のことをいいます。

孔子は別の場面でしばしば「仁に親しむ」とも述べ、
仁を身につけた「仁者」に学ぶことの大切さを
繰り返し説いています。

ここでいう「師」も「仁者」も、
『論語』でお馴染みの「君子」に近い存在で、
孔子が求めていた理想的な人間像と考えられます。

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