まほろばblog

「プロ野球優勝の法則」

2月 27th, 2013 at 9:08
 天野 篤(順天堂大学医学部教授)  

     『致知』2013年3月号
       特集「生き方」より

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【天野】 私も34歳の時、先生と同じように
    「明日から来なくていい」と言われ、
     全くゼロの状態になりました。

     新東京病院も須磨先生という後ろ盾があるにせよ、
     新興で、大病院などにどう立ち向かっていくか
     思案しましたが、そこはやっぱり若さで
     乗り切れたと思うんです。

     そしてその1年くらいの中で確信したのが
    「プロ野球優勝の法則」というものでした。

【南淵】 ほぉ、なんですか、それは。

【天野】 野球のペナントレースでは
     勝率5割5分で優勝するチームもあれば、
     4割5分で最下位に沈むチームもある。

     要するにプラスマイナス十%の差で、
     全部掴むか、全部失うかが決まるんです。
     外科手術も、この10%、
     場合によっては5%をどう出し入れし、
     自分のほうへ引き寄せられるか、
     それによって明暗が決まるのだと。

【南淵】 なるほど。その5%をいかに引き寄せるかですね。

【天野】 そのために大切なのは、相手をよく観察することです。
     アンテナを張って情報をとにかく収集し、
     これまでの経験と知識を総動員して3秒で判断する。
     3秒で次の一手を考える。

【南淵】 判断は数秒でも、大事なのはその前に
     必ず「観察」があるということでしょうね。

     新東京病院で一緒に仕事をさせていただいた時も、
     お互いやり方が細かいところで違っていたのですが、
     先生はそれに対して何も言わずにずっと観ているんですよ。

     へえ、そうやるのか、そうなるのかと、
     常に観察をされていた。

【天野】 私は俯瞰と表現していますが、手術中でも、
     もう一人の自分が鳥のように
     ビューッと上に上がっていって、
    「こうしろ」と体に指令を出すんです。

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