まほろばblog

「君子の条件“文、行、忠、信”」

11月 30th, 2013 at 8:36

安岡定子(こども論語塾講師)

※『致知』2013年12月号
連載「子供に語り継ぎたい『論語』の言葉」より

201102_050_1[1]

子、四を以て教う。文、行、忠、信

先生(孔子)は常に四つの教育目標を立てて
弟子たちを育てられた。文、行、忠、信がそれである――。

今回紹介するのはとても簡潔な言葉ですが、
孔子の教えがここに凝縮されているといってよいくらい、
奥の深い章句です。

文はその言葉のように学ぶこと(学問)、
行は行い、実践です。
では忠、信とはどういう意味なのでしょうか。

忠、信という言葉が出てくる章句を『論語』に求めると、
学而篇の次の言葉が思い浮かびます。

「忠信を主とし、
己に如かざる者を友とすること無かれ」

(真心と信頼を第一とし、安易に自分より知徳の劣った者と
交わっていい気になってはいけない)

同じ学而篇には、
孔子の晩年の弟子である曾子による、

「吾日に吾が身を三省す。
人の為に謀りて忠ならざるか、
朋友と交わりて信ならざるか、
習わざるを傳うるか」

(私は毎日、自分をたびたび省みている。
人のためを思って真心からやったかどうか、
友達と交わって、偽りはなかったか。
また習得しないことを人に教えるようなことはなかったか)

という章句があります。

このように忠とは真心や己を尽くすこと、
信とは偽らない心を言います。

「忠信を主とし」とは忠、信を自分の中心に
しっかりと据えて拠り所にしなさい、
という意味ですから、
孔子自身がこの二文字をとても大切にしてきたことが分かります。

誰よりも孔子を尊敬し、
孔子から大きな期待を寄せられた曾子が
その忠、信の大切さについて強調して
述べていることも興味深いでしょう。

もう一つ、注目したいのは
「子、四を以て教う。……」の章句が
孔子自らの言葉ではないことです。

孔子の教えや生き方をよく学んでいた門人が
「先生はいつも文、行、忠、信について教えられていた」
と発言しているのは、
孔子がこの四つを平素からいかに大切にしていたのか、
という証でもあるのです。

誰が発した言葉だったのかは
記されていませんが、
孔子の教えのポイントをぎゅっと掴むことのできた、
とても聡明な門弟だったことは間違いありません。

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